はしがき1 あなたのために、全てのために
私がこのエッセイを書いたのは、元はといえば2021年の夏に書いた、141年の歴史を持つ高校の学校紹介脚本を先生の承認を得たにもかかわらず生徒に大反発され、承認が覆り不採用処分となったからである。私は戦争に関わりのない人など存在し得ないと私は思っている。その脚本は、そして歴史と現代の類似点を比較し、141年の歴史を持つ高校の立場で、どのような時代にあっても自分で考え勉強することは重要であると説くものであった。それは戦争について聞かせてくれた全ての人のために、私が魂を込めて描いた物語であった。そんな脚本をリジェクトされたことは、私にとっては正義の変遷を見たのと同義であった。
戦後日本においては、戦争を起こさないことが正義だったはずだ。そして、そのために戦争を語り継ぎ決して良く言わないことが正義だったはずだ。だが今となっては実際に体験した者はほぼ死に絶え、戦争に形だけ反対する者が、戦争を語り継がずに良く言わないことだけをする者が増え、語り継ぐ者は減ってしまっているのだろう。そして、私のように戦争を本当に語り継ぎ、自分に戦争の記憶を語ってくれた人の魂の叫びを受けて次の時代へと進むことを目指す者は思想犯罪者に成り下がったのだ。そして、今の日本は戦争へと突き進みかねない状態になっている。現代日本はもはや戦後ではない。戦前だ。
戦争を知らない者が戦争を少しでも知っているものよりも強い立場で戦争を語る。それが正義となった。私は戦争について語って聞かせてくれた30人以上の元軍人や当時の市民に申し訳が立たない。リジェクトを止めることができなかったからだ。
彼らに許されるため、彼らに恩を返すため、そして次なる戦争を防ぐためにも、私はこのエッセイを書いているのである。
私が現代の独裁者なら 古井論理 @Robot10ShoHei
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