第5話 ようやく旅行が始まり、過去に思いを馳せる。

新幹線ジャックの事件の後、俺たちは予約していた旅館にたどり着いた。

新幹線をジャックした犯人は、あの後警察に引き取られ、事件は収束した。

「なんだかんだ言ってもう夕方か」

「そうだね」

「というかもう離れていい?」

「だめ」

「あ、はい」

今、俺は小春に膝枕されている。

傷は癒えたのだが、今日一日は休むように言われてしまった。

本来は、この辺りを散策するつもりだったが、かなり本気で止められた。

「もうそろそろご飯だよな?流石にこの格好は気まず過ぎんだろ」

「そうかな」

「そうだよ」

そうして俺が身体を起こそうとするが。

ガシッ!!

「あの~小春さん。どうして俺の顔を握りしめて???」

「動くなって言ってんの」

「でも・・・って痛い痛い痛い!!」

小春はエンハンスを使って、握力を強化し俺の顔を掴んでいる。

「大人しくしてよね。さもないと息の根まで止めなきゃだから」

「ごめんなさい!!」

俺は大人しくすることにした。






それからしばらくすると、ご飯の用意が出来たようだ。

仲居さんが料理を運んできてくれた。

なんだかんだ言って今日はまともに食事をとっておらず、かなりお腹も空いていた。

「「いただきます」」

俺たちは、晩御飯を食べ始めた。

「ねぇ月」

「なんだ?」

「お風呂は一緒に入るから」

「だめです」

「逆らったら、四肢を引き裂きます」

「食事中に出てくる言葉じゃないな!?」

流石に倫理的に問題しかないともうのだが・・・。

多分、今日の小春は何を言っても聞いてくれないのだろう。

まあ今回ばかりは、俺が悪かったため言う事を聞くしかない。

「今回だけだからな」

「・・・意外に素直だね」

「まあな。かなり心配をかけたみたいだし、今日くらいは小春の言う事を何でも聞くよ」

今日くらいは良いだろうと思っていた。

「・・・今何でもって言った?」

「ふぇ?」

なんか嫌な予感がする・・・。

「ふふ~ん」

「あ、あの小春さん何でもとは言っても、限度がありますから・・・」

「な・ん・で・も!!するって言ったよね?」

「はい・・・」

「じゃあとりあえずご飯を食べてしまいましょう。冷えちゃうから」

「あ、ああそうだな・・・」

これから何を頼まれるのだろうと不安しか無いが、俺は箸を進めた。







食事を終え、俺たちはお風呂の用意を始めた。

俺たちが泊る部屋には、外に露天風呂が付いている。

せっかくだから、こういう所に泊りなさいと小春の母の美沙さんにおすすめされ予約したのだ。

お金は出すとかなり強めに言われてしまったので、ありがたく泊まる事にした。

「じゃあ月。入るよ」

「本気?」

「本気だよ」

やばい、一歩も引かない気だ・・・。

そうこうしているうちに、小春が脱ぎ始めた。

「お前は恥ずかしがるという感情は無いのか!?」

「・・・恥ずかしいよ」

「恥ずかしいのかよ!」

「だって着替えとか見せた事ないじゃない!!」

「着替えって見せるものじゃないからな!!」

俺は間違って無いはずだ・・・。

「だから・・・早く月も脱いでよ」

顔を赤くしてお願いされた・・・。

あれ?これって俺が悪いのか???

「・・・分かった」

もうここまで来たら覚悟を決めるしかない。

「じゃあ私先に入ってるね」

「ああ」

「早く来ないと、今晩エンハンスを使った状態で月を抱き枕にするから」

そう言ってお風呂に向かった。

骨何本折れるかな・・・。







やばい・・・。

恥ずかしい!!

強引に行き過ぎたかなぁ。

「私だってあなたに触れて欲しいのに・・・」ボソッ

1人でそうつぶやいた。

「私ってそんなに魅力ないのかなぁ」






俺は服を脱ぎ、お風呂場へと向かった。

「小春」

「月」

なんかお互い恥ずかしくなり、それ以降会話をせず、体を洗った。

にしても、傷が全くないってのが驚きだよなぁ。

そんなエンハンスって便利だなと思っていると。

「月、背中流してあげる」

「っ!?」

小春を見ようも、恥ずかしくて見ることができない。

「ん?月、大丈夫?」

「ああ。いやそこまでしなくても良いぞ」

流石にそこまではまずい。

「そっか・・・」

「ああ・・・」

再びの沈黙。

俺は体を洗い終え、ようやくお風呂に浸かる。

小春も同じく、お風呂に入った。

露天風呂とは言っても、各部屋についているものなので、そこまで広くもない。

そうなると、必然的に体が密着する状況になる。

今は、お互いに背を向けている状態であるが。

「月。こっち向いて」

「それは・・・」

「何でもするんでしょ」

「で、でも」

「そっか。4本かな」

「・・・何がでしょうか」

「肋骨」

「ただ今そちらを向かせてもらいます」

4本は重症だ。

それだけは阻止しなければ。

俺は小春の方を向いた。

「これで良いでしょうか」

「うん。良いよ」

小春は俺に、もたれかかるように背中を預けた。

「ねぇ月。私ってそんなに魅力がない?」

不安そうな声で聞いてきた。

「そんな事はない。俺は小春の魅力を知っているから付き合っているんだぞ。それに、小春は俺には勿体ないくらいだ」

「・・・そっか」

俺の言葉に嘘偽りはない。

初めて会った時から、俺は惹かれていたのだ。

「むしろ俺のどこに惹かれたのか知りたいくらいだ。」

「そんなの決まってるよ。私の事を救ってくれたから月の事を好きになったよ。それから、あなたの優しさに触れてもっと好きになった」

恥ずかしい事を言ってくれるな・・・。

「そして、あなたとその白い炎に惹かれた」

「そうか・・・」

「うん・・・」

そしてまた沈黙が続く。

だが先ほどとは違い、心地の良い静けさだ。






私がこの人、神薙月に惹かれた日。

それは、5年前までに遡る・・・。






小学生の頃、私は虐められていた。

明確な仲間外れ、陰口、教科書には落書きがされていた。

いじめの陰湿さは年齢なんて関係ないなと思った。

私はどうしていじめられるかは大体予想はつく。

このエンハンスのせいだ。

まだ幼いという事もあって、しっかりと制御ができていない。

多くの人は、年齢と共にエンハンスを制御することができる。

基本的には、思春期に差し掛かる期間に皆、エンハンスは安定してくる。

だけど、私はかなり遅かった。

それも原因として挙げられるが、多分私のエンハンスの能力の方が大きな原因だろう。

身体強化。

女子のくせに力が強いとか、足が速いとか。

小学生らしくしょうもない理由だった。

だが、いじめるにはそれだけでも良かった。

ある日、朝から学校に行くと机に落書きがされていた。

そんな事したら先生にバレるだろうとは、一瞬は考えたがそれも意味はない。

何て言ったって先生も共犯なのだ。

「・・・もう嫌だよ」

そう呟いても誰の耳にも届かない。

自殺も考えたその時。

「何?最近、机に落書きするのがトレンドなの?」

ある男の子の声だ。

「これ誰が書いたの?」

その男の子は、クラスのみんなに聞くが、みんな私が書いたと言う。

それもそうだ、このクラス全員が共犯なのだ。

多分、この男の子も共犯なのだろう。

「そっか。あっ、ちなみに嘘が発覚したら蹴り飛ばすから」

その男の子は言い放った。

その日は、それで終わったが翌日。

クラスが大騒ぎになっていた。

「誰だ!?これ書いたの!!」

「私のにも!!」

「俺のにも!!」

ざわざわ・・・。

みんなの机には、私の机に書かれていた落書きがそのまま書かれたようなものだった。

「これ鬼月がやったのか!?」

「鬼月さん最低」

「ひどい」

犯人は私だと決めつけるクラス。

その時、一人の男の子が教室に入ってきた。

「朝からそんなに騒いで思春期かよって思春期か」

あの人は・・・。

「神薙!!」

「神薙君?」

「これ見ろよ!!」

クラスのみんながその男の子、神薙月君に机を見せる。

「何だよ。うるさい。流行ってんだろ?そしたら何にも問題ないじゃないか」

「は?」

「何言ってんの?」

「鬼月さんがやったんだ!!」

神薙月君にそう伝える人も居た。

「だから何言ってんだ?これ俺が書いたに決まってんだろ。これ書くために、早起きしたんだ。褒めてくれ」

神薙月君が書いたと自白した。

「何でこんな事したんだよ!!」

神薙月君の言葉に怒る人もいた。

それでも神薙月君は、悪びれる様子は無かった。

「昨日、鬼月さんの机に落書きしてあっても騒がなかったのに自分の机に落書きされてたら騒ぐのかよ。元気だね」

「っ!馬鹿にしてんのか!?」

「してるなぁ」

神薙月君は怒る人たちを挑発した。

その挑発に乗った者が神薙月君に殴り掛かった。

そしてそのまま神薙月君は殴り飛ばされた。

「あー痛ぁ・・・。殴られたから早退しよう。」

そう言って荷物を持って帰ろうとしていた。

その時に、神薙月君は掃除用具入れを開け、何かを取り出していた。

「このカメラ持って病院行って、診断書書いてもらうか。その前に学校に提出が先か?でもなぁあの三下の担任は当てにならないし。校長室に乗り込むか。」

そう言って教室を後にした。

その後のクラスは、静まり返ったが、すぐに神薙月君を追いかけるように走って行った。

「待てよ!!」

「何だよ」

「そのカメラ置いてけ」

「やだよ。お年玉使って買ったんだ。やるかよ」

「いいから置いて行けって!!」

そういってまた神薙月君に殴り掛かろうとしたが、次は躱していた。

「気は済んだか?じゃあ俺はこれで」

神薙月君は、そのまま走って行ってしまった。

その後、担任が教室に来たときまた軽く騒ぎになった。

クラスのみんなは、神薙月君がやったと言う。

まあそれに関しては、嘘は全くない。

だけどその本人は、今教室には居ない。

「神薙は、今どこに?」

担任がみんなに聞いた。

「・・・」

「みんな知らないか」

「多分校長室に・・・」

どこからかそんな声が聞こえた。

「校長室に?何でまた」

担任は疑問に感じた。

するとまた教室のどこかからさっき起きた事を話し始めた。

その話を聞いた担任は血相を変えて、教室を飛び出した。

その後は、私はあまり知らない。

午前中の授業は全て自習となった。

昼休みになると、一人の男の子が教室に入って来た。

神薙月君だ。

殴られた傷は、癒えていた。

治療をしてきたのだろう。

今、教室は沈黙に包まれていた。

そんな中神薙月君は、口を開く。

「多分、担任の先生変わるぞ。今の先生はクビになる流れだな。あと、いじめの件についてだが、加担した奴を今からあぶり出そうと思う。」

その言葉を聞いて、みんな騒ぎ始める。

「いじめが起きてた証拠はあるのか!?」

「そうだぞ!!」

「このクラスに限ってそんな事はあるはずがない!!」

「そっか。うん分かった。お前らの言い分を信じよう。」

神薙月君がそう言うとみんな安心したかのように、落ち着きを取り戻す。

だがそれは一瞬だった。

「だけど、昨日も言った通り嘘だったら蹴り飛ばす。まあそういう事だから。じゃあ今から、みんなである動画を鑑賞しよう」

そう言って、神薙月君は教卓の方に歩いて行く。

「あっ、鬼月さん。ちょっと手伝ってもらえる?」

神薙月君が私にお願いしてきた。

「う、うん」

私は、いまいち状況を飲み込めないが承諾した。

「これは俺がやりたくてやってる。お前が俺を憎んで殺そうと考えても、俺は許す」

神薙月君は、私にそう言った。

何を言っているかは、分からなった。

その後、また静かになったと思うと、どうやらスクリーンの準備をしているみたいだ。

そして準備を終えると、再び神薙月君が沈黙を破る。

「じゃあ再生するぞ」

そのスクリーンに映し出されていたのは・・・。

私に対するいじめの現場だった。

クラスは再び騒ぎ立てる。

「何だよこれ!!」

「盗撮!?」

「止めろ!!」

そんな声に耳を傾けることなく動画を流し続けている。

「動画の途中だが、これを見てまだいじめをやってませんと言える奴は出ておいで」

神薙月君がクラス全員にそう言った。

みんなは、その言葉通りに行動を起こす者は居なかった。

「それじゃあ全員嘘をついてたことになるな。という事で約束は守ろうな」

神薙月君のその言葉を聞いて、逃げ出す者が居た。

それを見た神薙月君は、一瞬で逃げ出したものに追いついた。

「じゃあな」

ドゴンッ!!

「加減はしたからな」

神薙月君はそう言ってはいるが、蹴られた者は気絶していた。

「はい、じゃあ次は誰かな」

その言葉を聞くと、全員教室から逃げ出した。

それでも神薙月君は、一人も残さず蹴り飛ばしていた。

彼の足は、白い炎のようなものが纏わりついていた。

「あれが神薙月君のエンハンス・・・」

全員を蹴り飛ばした後、教室に帰って来た。

「じゃあ鬼月さん。俺をこの状況を作った犯人にしてくれたら全部終わりだ。鬼月さんは、今起きた事を嘘偽りなく、先生とかに言うといい。あと警察沙汰にはならないように、校長と取引したから俺が全てやったと言えば解決する」

神薙月君は、そう言った。

「その後、あなたはどうなるの?」

私は疑問を彼にぶつけたが・・・。

「さあね。鬼月さんには関係ないから大丈夫だよ」

優しい声でそう言った。

「神薙月君」

「何?」

「私の人生をあなたに捧げます。だからあなたに恩返しさせてください」

私の心の底からの言葉だ。

「はい?」

何を言われてるか分かってないような顔だった。

「人生はちょっと重いかなぁ・・・」

「そうですか・・・」

私は本気で落ち込んだ。

他に恩を返す方法はと考えていると。

「な、なあもっと他に、ライトに恩返しは無いのか?別に恩返しして欲しいわけではないんだけど、それだと鬼月さんの気が収まらないでしょ」

その通りだった。

ライトな恩返し・・・。

「私の初めてとか?」

「重いわ!!」

「じゃ、じゃあ私の身体!!」

「同じだろ!!」

「財産も!!」

「要らん!!」

なかなか受け入れてくれない。

それからはお互いに意地になっていた。

「じゃあ私と友だちになってください」

「まあそれなら」

そうして私と神薙月君は晴れて友だちとなった。

「それでね・・・。名前で呼んでも良い?」

言ってて恥ずかしくなってきた。

「構わないよ」

あっさり了承してくれた。

「じゃあ月君。私の事も名前で呼んで。私、苗字はそんなに好きじゃないから」

「分かったよ小春さん」

「出来れば呼び捨てで」

「ぐっ・・・こ、小春」

「うん。ありがとう」

そうして月君との距離が縮まった。

なんかようやく信頼できる人が見つかった気がした。

「小春???」

それで安心したのか、自然と涙があふれ出た。

「どうしたの?どこか怪我でもした??とりあえず!ハンカチどうぞ」

私は、月君のハンカチを受け取り涙を流した。

もう我慢する必要はないんだ。

それだけでもう救われた。

キーンコーンカーンコーン

昼休みが終わるチャイムが鳴り響く。

教室やその外では、クラスのみんなが倒れており学校中が騒ぎになった。

午後の授業は、事情聴取で終わった。

月君は、私よりも長引いてるようだった。

次の日、学校に行くと私以外は休んでいた。

月君は、別室にてまた事情聴取も兼ねて謹慎中のようだ。

担任も月君が言った通り、辞める事になっており教室に来たのは校長先生だった。

先生は、私に頭を下げ謝罪してきた。

そこで月君の処分と校長先生との取引について聞いた。

月君は、別室に登校。

取引については、月君が今回のいじめの件を公にしない代わりに、彼にクラスのいじめていた者を処分させる事。

そんな事を言っていた。

その取引がこの件を収束させたようだ。

いじめた者は、保護者に証拠のビデオを見せ自宅謹慎にしたようだが、本人たちが登校を拒否しているらしい。

月君の蹴りがトラウマになっているみたいだ。

「あの先生。今から月君に会う事は出来ませんか?」

もう一度会ってお礼を言いたいと頼んだ。

「んー一応謹慎という名目なんでね。ちょっと難しいかも。まあ私はこれから仕事があるから席を外す。自習をしたまえ。再びこの教室には30分後だ。有意義な時間を過ごすように」

そう言って校長先生は、教室をでた。

「あれって良いってことだよね・・・」

そう思い、私は月君がいる教室へと向かった。





コンコン

「失礼します」

教室の扉を開けるとそこには。

「あれ?どうしたの小春」

本を読んでいる月君が居た。

その姿は様になっており、惹かれてしまった。

「る、月君」

「うん」

「私と付き合ってください!!」

お礼を言いに来たのに、なぜか告白してしまった。

「んーそれは出来ないかな。小春には俺なんかよりも良い人は居ると思うよ」

振られてしまった・・・。

「好きな人がいるの?」

気になった。

「居ないよ」

多分嘘はついて無さそう。

「じゃあ何で?」

そう聞くと。

「小春は俺には眩しすぎるよ。俺なんかよりも小春に釣り合う人が居るよ」

私は、その言葉が許せなかった。

「ねぇ、月君。あなたはどうして自分をそんなに卑下するの?」

私に釣り合わない?

そんな訳はない。

こんなに優しくて温かい人が釣り合わないなんてありえない。

「事実だからだ」

そんな事言われると余計に頭に来た。

「分かった。どれだけ本気か教えるよ。今日から毎日、あなたに告白する」

「はい?」

「あなたに私以外の人で好きな人が出来たというまでやり続けるわ。もし嘘をついたら心中しちゃうから」

こうして毎日の告白する生活が始まった。

晴れの日も雨の日も雪の日も。

毎日欠かさず、好きな所を言って見せた。

そしてある日。

とうとう彼が折れた。

「分かった小春。付き合おう。ただし、条件がある。全体に自分を傷つけることはするな。そのエンハンスは、自分の身を守るために使うと誓ってくれ」

月君はそう言った。

「分かった。じゃあ私からも条件がある。あなたのエンハンスを私の為に使わないで。誰の為でもなく、あなた自身の為に」

多分、この人はまたあんな事があったら自分の為とは言うけれど、結果的には私の為だったりしているのだ。

「分かったよ・・・。というか小春はいつまで俺を君付けで呼ぶんだ?ぜひとも呼び捨てでお願いしたものだ」

そういえばそうだった。

「る、月」

「小春」

こうして私たちは、付き合うことになった。








そして現在は、一緒にお風呂に入る中になった。

「小春?なんかボーっとしてるけど、のぼせたのか?」

「ううん。大丈夫だよ。ちょっと幸せを噛みしめてたの」

「???」

月は、何のことか分かって無いような顔をしていた。

「月」

「んー?」

「好きだよ」

「俺もだ」

「そっか」

「ああ」

時間が静かに流れていく。





「ねぇさっきから気になっていたのだけど」

「どうしたんだ?」

「さっきからお尻の辺りに固いのが当たってんだけど、これって・・・」

「・・・」

「・・・」

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