第7話:星空のBelieve-佐々木 圭-vol.1
驚かされたのはこっちの方だよ。
午前最後の授業の終わり間際に午後の授業(国語)の教科書をウチに忘れてきた事を思い出した。昨夜宿題を終えてその用紙を鞄に詰め込むとき一時的に国語の教科書を机の上に出しておいた。後でそれも詰め込めばいいかとそのままにして翌朝、ウチを出た。朝は時々ぼーっとしているから、”そのつもり”、がついおろそかになってしまう事が度々ある。俺の悪い癖だ。区切りのいいところでキチンとしておけばこういうことにならないんだが、性分はなかなか変わってくれない。
仕方ない、”だーこの”にちょっと借りるか。
その前に購買部でマヨパンとお茶を買う。二年になってちょっとラッキーなのは購買部は二階、そして俺のクラスはそこに一番近い1組、午前の授業が終わって余裕でマヨパンゲット可能だ。一年の頃は階下でもあり教室も7組で直線距離から最も遠かったし、先輩もいて、マヨパンに手が届くことが希だったのだけれど、二年になって環境の変化は有利になった。マヨパンゲット率ほぼ100%。
でもなぁ、もう少しマヨパンの販売個数増やせば良いのに、なんで出来ないんだろ?卒業して競争社会に立ち向かう事になる前段階のシュミレーションか? まさか。
パンの包みとペットボトルを購買部傍のゴミ箱に放り混んで7組に向かう。昼休みになってまだ15分も経ってない。まだだーこのは弁当を食べてる最中だろう、教科書借りるついでに彼女のおかず、つまみ食いするか_?
毎度毎度の事ではない、まぁ週1程度だし、あっちも慣れっこでそう嫌な顔しないし。俺もパン一個じゃ腹が持たない。
7組。
だーこの達はいつもと変わらず窓際に机を囲って四人仲良く弁当を広げてる。ガールズトークだかなにか相変わらず賑やかそうだ。よくもまぁ毎日毎日話題に尽きないな、女子は。
だーこのが斜め向かいの山口に何やら話しているその隙を突いて
「ウインナー、いただき!」
弁当箱に残ったタコウインナーを一きれつまみ食い。タコウインナーが残っているのは、好きなものは最後に食べるという彼女の習性だ。ちょっと罪悪感を抱きつつも「も~しょーがないなー」口を尖らせる不機嫌な表情を俺は待っていたのだが、俺の顔を見た瞬間、好華はとんでもない絶叫をした。
全く予想だにしなかった状況、クラス全員がこっちを注視している。もしかしたら職員室まで届いたかもしれない絶叫。
「な、なんで?」と好華の表情には驚きとどこか悲しさが見えた、俺には。
驚かされたのはこっちの方だよ。
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