第5話:星空のBelieve -松田好華-vol.5
悪い夢、怖い夢なら覚めた方がいいに決まっている。
時々とても怖い夢を見ることがある。何かわからない不安なもの、何かから逃げて動悸が激しくなっていく、いやだ!と思った瞬間に、あ、夢だったとベッドの上で目を覚ます。よかった夢だったと安心するも、なんかおかしい。今時間何時だろう、深夜のはずなのに窓の外は明るい、まるで白夜のように。
それにここは自宅のはずなのに少し雰囲気が違う、そう小学生の頃の部屋のカーテン、学習机、小さな本棚に収まったコミック。なのに場違いなノートパソコンとスマホが机の上に置いてあって確かにその二つは現在の私のものだけれどもちろん小学生時代に持ったことはなくて。
家族のだれもいない寂しさになぜか胸がざわざわしてしまい、私の混乱はもっとひどくなる、ああなんなの?
そしてまたその世界から目覚める。
よかった、ほんとに目が覚めた、私は夢の中で夢から覚めて、そしてやっと現実に目を覚ました。確かな実感、深呼吸した空気を喉の奥ではっきり感じる、起きたときのかすかな疲れもしっかりと。
そんな感じの目覚めを何度か経験したことがある。今はもう夢の中で何に怯え追いかけられたのか忘れてしまっているのだけれど、その時の不安なシチュエーションだけが強烈に残っている。
”これは夢なの?”
授業中私はずっと考えてた。
でもこれは夢の中ではない、こんなにはっきりと意識が長く続いて、五感も確かだ。なら「コロナ禍」の風景が全くないこの現状はなんなの?
本当に現実なの? 昨日までの現実と今の現実、どっちが本当なの?
悪い夢、怖い夢なら覚めた方がいいに決まっている。
昨日までの世界は「悪い夢」だったのだろうか_?
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