本日、2万8千円のレコードプレーヤーをAmazonでポチっと購入した。未希はワクワクが止まらない。届いたらすぐに音楽を聴けるように、最寄りのレコード屋を調べたり、レコードプレーヤーを置くためのいい感じの棚を探したりしていた。しかし部屋に棚を置けるスペースは無く、使ってない机と椅子を部活の同期の子に売ることにした。一体いくらで売ればいいのか分からなかったが、高すぎて買ってくれないのも困るため、とりあえずなんとなくな感じで金額を設定した。机一つと椅子二つ、合計で2700円でどう？と提案した。「え？！いいの～？！ありがとう！」という感じですぐに交渉が決まった。ちくしょー。こんなことならもう少し高い値段言っておけばよかったぁああぁ！と心の底から思ったがもう遅かった。

そして次の日、最寄りのレコード屋へ行った。最寄りと言っても一駅先である。駅の近くのニトリにいい感じの棚が売られていることを知ったので、今回は自転車ではなく電車で行動した。

初めてのレコード屋。入る前、すごく緊張した。レコード集めはおじさんがするイメージを持っていたので、自分みたいな若い女が気取って買ってもいいのかな・・なんてことを未希は思っていた。勇気を出して入店。こじんまりとした部屋にぎっしりレコードが束ねられていた。何を買えばいいか、何が一番欲しいかなんて考えていなかった。なんとなく、ブルーハーツとかあったら欲しいなと考えていた。「何を探しているの？？」と店員のおじさんが声をかけてくれた。ブルーハーツが欲しいですと答えると場所を教えてくれた。しかし値段を見てびっくり。4800円であったからだ。さすがに買えないやと思い、ほかのコーナーを見ていた。そういえば私、ボブディラン欲しいんだったと思い出して探してみた。ボブディランを探し出せなかったが、フォークソング特集のレコードを見つけた。その中にボブディランの『風に吹かれて』が入っていたので迷わず選んだ。もう一つ、QUEENの『オペラ座の夜』を発見し、それも迷わず購入した。未希は小4のころからQUEENが大好きだった。親の影響である。ずーっとQUEEＮの音楽を聴き続けていた。フレディの歌声にもうっとりするし、歌詞の意味も独特で素敵で、すべてにおいてうっとりしていた。手帳を買ったら必ず11月24日に「フレディマーキュリーの命日」と書くくらい好きだった。オペラ座の夜には『ボヘミアンラプソディ』や『39’』『LOVE OF MY LIFE』が入っていたので迷わずに購入した。

次はニトリである。あったあったこれこれ。事前に下調べをしてあったからすぐに見つけ出した。しかしその重さにびっくり仰天。トラックで運んでくれたりしないかな・・・なんて考えたが、そんなサービスもしてなさそうだったので大きな段ボールを抱え駅まで歩き始めた。

はぁ・・はぁ・・・しんどい・・・。部活をして体力にも筋力にも自信はあったが、この棚を運んで歩くことは楽なことではなかった。15分ほど歩いてやっと駅の近くに到着した。最寄り駅に着いたとしても、そこからアパートまではまぁまぁ遠いので途方に暮れていた。と思っていたら、信号を渡った先にバスが留まっていた。そしてその行先は――。

「ありがとね～！」バスから降りる私に、運転手はそうお礼を言ってくれた。ラッキーなことに、行先はアパートの最寄りのバス停だったのだ。ああ神よ、、本当にありがとう。そう思いながらバスに揺られていた。

家についたら休む間もなく棚を組み立てた。部活の関係で工具が家に揃っていた。このためにあたしは部活をやってたんやな。なんてことを未希は本気で考えていた。明日はいよいよレコードプレーヤーが届く。その日はワクワクよりも疲れのほうが勝ち熟睡して眠った。グースカスカスカピッピッピーーーーZZZ

昼間、ピンポーンとチャイムが鳴る。待ってましたー！！！宅配業者から荷物を受け取り段ボールを開ける。こんな感じかぁ。と内心思ったが、これからのレコードライフが楽しみでたまらなかった。そして昨日買ったレコードを聴いた。感動した。これがレコードかぁ、と。ブチブチと曲と曲の間で鳴るレコードならではのあの音が、曲を聴くよりも心をグッと掴まれるような気がした。

未希はすごく満足していた。一段と素敵になった自分の部屋、レコードを聴いてる自分、これからの音楽ライフ、様々な気持ちが未希を気持ちよくさせてくれた。そんな未希の運気はすごくよかった。それは後々、すごく素敵な人と知り合うことができたからだ。