3 Cパート
【
「……く。あの男を、見失ったか――」
拳銃の弾も尽き、追跡を阻害する怪人たちを退けることもかなわなくなった。
白貌の群れに紛れ、組織の核心に触れるであろう重要人物を見失ってしまった。
(しかし――ようやく一歩、前進だ。あの男の正体を探ることが出来れば――ネオ・ベータリアン、その全貌を掴めるはず……)
【同1F/
ピー、という電子音と共に、白煙の中、全裸の青年が床に倒れた。
周囲には白い液体が飛び散り、凄惨な死骸の山を塗り潰している。
巨腕の怪人の姿はない。それはまるで砂の城のように崩れ去り、跡形もなくなってしまった。
春原アキラは、恐る恐るモールの柱の陰から姿を現した。
各エリアから押し寄せていた怪人の群れも――いくつかはドクタークライシスと共に去り、この場に留まっていた方も黒い魔人に殲滅、または意識を失ったようにその場に倒れ動かなくなった。
「……死んだ?」
まるで魔人の放つ白煙にあてられたかのように機能を停止したそれらを、爪先で軽くつつく。……反応は、ない。
とりあえず、事態は治まったようである――
「…………」
春原は周囲をきょろきょろと窺ってから、床に仰向けに倒れている全裸の青年の足を掴み、フロアの隅へと引きずっていった。
(いやまあ、さすがにね? フツーの人じゃないってのは分かるじゃん? あそこ、つるっつるだし――急に全裸になったりするし――)
だから、まあ、驚きはない。
全裸になる仕組みが分かっただけ、マシだといえる。
(人助け――は、特に出来てないけど、とりあえず頑張ったんだし、服の一着や二着、もらっちゃってもいいよね?)
無人の店舗に入り、春原は適当な服を見繕った。
遠くから、サイレンの音が聞こえていた。
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