第22話 朝日のエロ?暴走

朝日が試合中に捻挫。

というよりかは足を捻ってしまった。

俺は心配になって朝日の居る場所に向かいたかったが。


そのままスタッフに遮られてしまった。

不安な感じで俺はスタッフに遮られている奥の方を見る。

そうしているとスタッフの1人が俺に言ってきた。

小鳥遊さんが呼んでいます、と。


「すいません。有難う御座います!」


そのまま関係者通路に通してくれた。

それから医務室に居る朝日を見る。

朝日はかなり落ち込んでいた。

女医の様な人が俺を見てから笑みを浮かべて会釈する。

俺はその姿を見ながら頭を下げて朝日を見る。


「朝日。大丈夫か」


「.....うん」


「試合.....その。途中で抜けないといけなくなったの.....キツいよな」


「だね.....うん」


朝日はかなり落ち込んでいる様だ。

俺はその姿を見ながら.....眉を顰めて考える。

それから俯いたままの朝日を見た。

朝日は唇を噛んでから涙を浮かべている。

その姿を見つめるだけで胸が痛い。


「朝日。どう声を掛けたら良いか分からないけど.....」


「.....悔しい。私は。本当に悔しい。良い感じで点を取っていたから」


「だよな。俺からもそう思えた。お前が活躍しているのをずっと」


「見てたんだね。.....有難う」


「.....そうだな。ずっと見ていたよ」


俺は言いながら朝日を見る。

朝日は涙を流しながらグスグス言う。

悔しいよぉ、と言いながら。

良い感じだったのに、と話ながら。

そんな姿を見ながら俺は真剣な顔をする。


「朝日。泣かないでくれ」


「でも涙が止まらない。悔しいよ.....」


「.....」


朝日の横に腰掛けた。

そしてそのまま優しく朝日を抱き締める。

それから朝日の頭を撫でた。

嗚咽を漏らして泣く朝日。

私が活躍しないといけないのに、と言いながら。


「朝日。聞いてくれるか」


「何。東」


「俺な。思うんだよ。今日が駄目でもお前の努力は大勢の人が見てくれたって」


「.....うん」


「だから絶対に今日は後悔しちゃ駄目だ。今日は後悔じゃなくて笑顔を見せるんだ」


「東.....」


うん。そうだよね。

と言いながら笑みをようやっと浮かべる朝日。

俺はその姿を見ながら体を離し.....たのだが。

朝日は離れなかった。


俺は、!?、と思いながら朝日を見る。

そんな朝日は周りを見てから誰も居ない事を確認するかの様にして俺に向いてきた。先程の女医さんも席を外している。

その為に誰も居ない。


「.....ねえ。東。もっかい」


「な、何を?何をしたら良いんだ」


「私に対してハグして。撫でて」


「オイオイ。冗談だろ。お前.....!?」


「冗談のつもりに見える?私だって東が好きなんだから.....そりゃ好きな人にハグしてもらいたいかな」


「!」


俺は真っ赤に赤面しながら朝日を見る。

朝日は腕を差し出してくる。

両腕を広げる感じで、だ。


キス顔になっているのは気のせいか?

俺はオドオドしたが.....顎に手を添える。

それから、もう一回だけだぞ、とそのままハグをした。

朝日の心臓の高鳴りを感じる。

俺の心臓もバクバクしているのだが.....。


「.....ねえ。東。このままキスでもしちゃう?」


「冗談だろ。そういうのは本当に好きな人にしてやれよ」


「私の好きな人って東なんだけど」


「そ、そうですね.....ってそうじゃない!キスは駄目だ。俺達は付き合っている訳じゃないんだから!」


「それとも私の下着見たい?」


「えっと。どうしたんだお前!おかしい!何かがおかしい!!!!!」


俺に赤面しながら.....チョッキを脱ぐ朝日。

それから体操服すらも脱ごうとする。

ファぁ!?、と思いながら俺は、マジかコイツ!、と思って止める。

のだがそれでも脱ごうとする。

何がどうなっている!?


「.....暑いんだよね。私」


「お前もしかして水分が足りないんじゃないか!?お前の悪い癖だよな!?そういうの!水分足りないとそうするの!」


「そうだっけ?頭がボーッとするからなんでも良いや」


「良くねぇ!!!!!」


まあまあ、と言いながら朝日はチョッキを脱ぎ捨ててから、でも暑いから飲み物飲もうかな、と言いながら冷蔵庫を目指そうと歩き出す。

俺は、オイオイ。大丈夫か、と言いながら足が悪いのに、と思いながら介抱をしようと思い近付いたのが運の尽き。

突然、朝日は俺の胸ぐらを掴んでそのまま横に有る医療用ベッドに思いっきりぶっ倒した。

し。しまった.....!?


「アハハ。罠に掛かっちゃったね」


「あ、朝日.....止めろ。お前の身体がかなり暑くなってしまっているんだろ!?」


「そうだねぇ。アハハ。でも押し倒したから何でも良いけどね」


「良くない!た、助けてぇ!」


カーテンを閉める朝日。

それから俺をジッと見つめてくる。

するとドアが開く音がした。


あれ?、と杉山の声がする.....!?

俺は真っ赤になりながら、助けて、と言おうとして暴れるがその口を猛烈な腕力で朝日が抑え込んだ。

そして朝日は暑いのか何なのか分からない感じで赤くなりながら俺を見下ろす。


「この状況を見られたら私達、絶対にヤバいよね。そう思わない?東」


「何を考えている.....お前は!?」


「うーん。えっちな事って言ったら?」


「朝日。マジに今直ぐに水を飲んで下さい」


え?ちょっと待て。

これかなりマズイんじゃないか?

俺の童貞の危機なんですけど。

ヤバい。本当にヤバい。


いやいやどうしたら良いのだ。

考えながら俺は.....杉山とともう一人の足音を聞く。

目を回しながら俺はマズイ、と思う。

汗の匂いと女の子の香りが入り混じった香りがするのに!

この状況を見られる訳にはいかない!

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