第21話 試合開始
「さて、そうなったら朝日も行ってしまったしもう直ぐしたら戻るか」
「だね。お兄」
(はい)
すっかり打ち解けた感じの俺達。
特に.....凛花と上代がかなり打ち解けていた。
どれぐらいかといえばそうだな。
100パーセントのゲージで言えば120パーセントぐらいかな。
それぐらい打ち解けていた。
まるで姉妹の様である。
「り、凛花さんはその.....私のお友達になって、くれる?」
(はい。お友達になりましょう)
そんな感じで会話をして手を繋いでいる。
七色さんはちょっと嫉妬混じりだったがそれでも和かに見守っていた。
俺はその姿を見ながら祐子を見る。
祐子も見守っていた。
「祐子。お前も来てくれて有難うな。今日は」
「うん。朝日さんのバスケの試合が楽しみだからね。アハハ」
「そうか」
そして俺達は総合体育館にやって来る。
それからそのまま受付をしてから中にやって来た。
俺達はそれから椅子に腰掛ける。
すると右に凛花が。
それから左に杉山が座った。
何やってんの。
「私の長野くんだから」
(東さんは私のものです)
「というか東さんって言う様になっちゃってまぁ」
(ですね。私は東さんと仲良くなりたいですから)
「お前ら.....」
俺達は額に手を添える。
それから俺は首を振った。
そして俺は目の前を見てみる。
その場所には用意されたコートがあった。
スタッフが準備している。
「準決勝だよね?確か」
「そうだね。準決勝だよ」
「ですね」
そんな会話を七色さんと杉山と祐子さんを見る。
俺はその姿を見つつ、ふむ、と思う。
それから周りを見る。
そこにはかなりいっぱいの人が入って来た。
俺はその人並みを見つつ、スゲェ人気だな、と呟く。
「だねぇ」
(そうですね)
上代の顔がかなり不安げな顔をしていた。
人が多過ぎる様だが.....大丈夫だろうか。
俺はその姿を見ながら、大丈夫か、と聞く。
すると上代は、は。はい、と不安げに言った。
それから顔を上げる。
「私は強く居たいんです。今は」
「そうなんだな。.....頑張るね」
「そう、です。だって朝日、ちゃんが頑張っていますから」
「君は強いね」
「わた、しは強くないです。でも、朝日ちゃんが頑張っているから」
俺達も応援したいよなその気持ちに、と杉山とみんなを見る。
みんな、ですね、と柔和に答えてくれた。
俺は笑みを浮かべてそのまま目の前を見る。
すると観客席のドアが閉められてから下のドアが開いた。
どうやら試合が始まる様だ。
「朝日先輩.....勝ってほしいですね」
「それは確かにな」
「確かに」
そんな感じで試合が始まる。
朝日のチームは.....確かオレンジ色のチョッキを着ていたな。
俺は考えながら見つめる。
そして俺は顎に手を添える。
朝日が頭を下げて敵選手に向いた。
「頑張れそうだな。今朝来たし」
「.....ほほーう?今朝来たの?」
(それは聞き捨てならないですね)
「お前ら。深い意味は無いからな。取り敢えず落ち着け」
(深い意味は無い?それは本当ですかな?)
「そうだねぇ」
俺を両サイドからジト目で見てくる2人。
盛大に溜息を吐いてから俺は、あのな、と汗をかく。
七色さんと上代と祐子がクスクスと苦笑した。
やれやれ、と思いながら指差す。
「今は試合に集中しようぜ」
「で、です。皆さん」
「まあ、うん。そうだね」
(確かにです)
俺達はそんな会話をしながら目の前を見る。
試合が始まった。
かなり優勢な感じに見える。
バスケットボールを奪っているのが頻繁だから、である。
☆
68ー78。
これは何の数値かといえば優勢の兆しだ。
78点が朝日達という事になる。
俺は汗だくになっている朝日達を見る。
朝日達は必死に勝利に導いている。
「頑張ってるね」
「そうですね」
「.....確かにな。見た感じ優勢だけど10点しか変わらないなんて流石は準決勝だな」
(ですね。でもバスケのルールはよく分からないです。でも勝っているなら嬉しいですね)
その様な感じの言葉を発する凛花。
俺はその言葉に、だな、と返事しながら顎にまた手を添える。
そして見つめる。
それから休憩が終わった様に。
作戦を耳に聞き入れた様に動き出した朝日達。
「「「頑張って!」」」
そんな声を俺達は発する。
気が付いているのかいないのか分からないが。
朝日はこっちに手を挙げた。
俺はその姿を見ながら、ふう、と息を吐く。
「勝てよ。朝日」
そんな祈りを込めながら俺は手を合わせる。
そして手を組む。
すると杉山がハッとした様に聞いてきた。
ねえねえ、と言いながら。
「そういえば長野くん」
「.....?.....どうした?杉山」
「朝日さんとはいつから幼馴染なの?」
「ああ。それか。そうだな.....結構昔。小学校の高学年ぐらいからかな」
(ですね。朝日さん当時から頑張っていました)
あの日は懐かしいな。
俺がイジメられている時に朝日が激昂して俺を助けてくれたんだ。
それは.....本当に懐かしい。
女に助けられるなんて情けないけどな。
考えつつフッと苦笑した。
「そうなんだね」
「.....ああ。懐かしい記憶だ」
(私は中学生の頃から知っています。朝日さんと仲が本当に良かったですからね。東さんは。私も朝日さんにかなりお世話になったんですけど.....)
「そうなんだねぇ」
「そうだな」
そんな感じで杉山と会話しながら。
俺は朝日を見る。
朝日はバスケットボールを必死追っている。
そんな様子を見ながら.....考える。
まさか朝日が俺を好きになるなんて思ってなかったけどな。
「朝日先輩は格好良いですよね」
「で、でしょう?」
「ですねぇ」
するとその時。
事件が起こってしまう。
丁度、朝日が切り返した時に右足を挫いた様に倒れた。
俺達はビックリしながら朝日をジッと見る。
朝日は痛みに顔を歪めながらそのまま連れられて退場した。
なんてこった、と思いながら俺達は青ざめて顔を見合わせる。
「行ってあげてお兄」
(ですね。東さん)
「良いのか?」
「だって君が行かないといけないでしょ。1番に」
「.....分かった。杉山。有難う」
大変だな、と思い人混みをかき分ける。
上代も、頼みます、という感じで顔を向けてくる。
俺はその姿を見ながら頷いた。
そして駆け出して行く。
朝日.....!、と思いながら、であるが。
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