愛す世界
第8話 4.14のバレンタイン?(編集)
散々な今週だが.....でも。
それでも何か新しく色々な事を見つけれた様な気がする。
俺は考えながら杉山と途中で別れての家に帰っていると家の前に朝日が立っていた。
ポストに何かを入れようとしている。
そして俺を見てビクッとした。
「.....?.....何しているんだ?朝日」
「えっと.....」
「?」
「な、何でもないけど!?東こそ何!?またあの女とイチャイチャしていたんだよねきっと!?」
俺は目を丸くしながら、付き合っているんじゃ無いけどな、と言ってみる。
今日だっていきなり、アクセサリーショップへ!とか無理矢理言い出して付き合ったんだからな.....、と溜息混じりに話しながら朝日を見る。
朝日はジト目で俺を見てくる。
俺はその姿にまた盛大に溜息を吐きながら、話しても無駄だと思うから。というか何の用事だ、と聞いてみると。
朝日は口をモゴモゴさせてから何かを取り出した。
「バレンタインチョコ」
「は?何だ。聞こえないんだが声小さい」
「ば、バレンタイン!!!!!!!!!!」
「うわ!?耳を傾げている時に大声出すなよ!?.....って何?バレンタイン?今日って4月14日だぞ。どうなっているんだ」
「ずっとあげたかったけど.....あげれなかったから。.....だからはい!バレンタインだから!!!!!」
え?、と思っていると。
板チョコを思いっきりぶん投げてきた。
俺は、!?、と思いながらそれを胸で受け止める。
そして、危ないな!、と言う。
朝日は真っ赤になっていた。
「どうせまたイチャイチャだろうしね!ポストにでも打ち込んでおこうかって思ったんだけど!」
「さ、さいですか」
「取り敢えず遅くなったけどバレンタインだから。ただそれだけ!じゃあね!」
朝日は舌を出して駆け出して行く。
俺はその姿に、おい朝日、と声を掛ける。
すると朝日は俺を見てきた。
振り返る様に、だ。
その顔に、有難うな、と頭を下げた。
そして笑みを浮かべる。
「まあ例えどんな板チョコであっても嬉しいよ。仮にもバレンタインなんだろ?」
「義理。で、グチャグチャだけど」
「それでも俺にとっては。男にとっては嬉しいもんだ」
「.....そ.....うなんだ」
「ああ。サンキューな」
俺は言いながら笑みを浮かべる。
朝日は、ふ。ふーん、と言いながらそのまま、また駆け出して家に去って行く。
それから振り返ってからまたあっかんべーをして舌を出してから俺を見た。
俺は苦笑しながらその顔を見ていると。
背後から声がしてきた。
「せん、ぱい」
「うぁ?!びっくりした!?.....え!?お前も居たのか!?」
心臓が止まりそうになった。
すると凛花は文章を速攻で打ってから見せてくる。
そこにはこう書かれていた。
(はい。居ました。幼馴染ですか)
「ああまあそうだな。疎遠になっていた、な」
(そうなんですね)
俺はその姿をマジマジと見ながら目を丸くする。
すると制服姿の凛花は通学鞄の中をゴソゴソと漁り始めた。
それから箱の様なモノを出す。
ピンクのリボンであしらわれたそれは.....可愛い感じだ。
チョコでも入っているかの様な。
ん?、と赤くなっている凛花を見ていると文章を打った。
そして見せてくる。
(全く同じ考えですいません。チョコレートです)
「え。え?マジで?」
(はい。バレンタインとかキッカケが無かったので。そうしていたら同じ考えの人が居たみたいですけど)
「そうか。.....有難うな」
(でも義理ですけどね。あくまで義理ですから)
強く文章を書きながら俺に人差し指を立てる凛花。
それから俺の顔を強く見てくる。
俺はその言葉に、分かった。でもそれでも嬉しいよ、と柔和になる。
すると凛花は笑顔を浮かべて照れた。
(じゃあそういう事です。明日待ってますから。駅前で10時に)
「はいはい。必ず行くよ。俺も楽しみだしな」
(え?先輩。楽しみなんですか?)
「お前と会話するの楽しいよ?」
「.....」
そ。そういうところが!、と文章を打ってから口をパクパクさせて真っ赤になる。
それから凛花は直ぐにハッとして首を振ってから、全く、と文章を打つ。
そして頬を膨らませて俺を見てくる。
何だかリスの様だな。
俺は苦笑しながらその顔を見ていると文章をこう打った。
(じゃあ私帰ります)
「え?もう帰るのか?」
(はい。ちょっと色々と遠いので。因みに先輩の家は先程の鈍感先輩の幼馴染さんが教えてくれました。道案内してくれました)
何やってんだよアイツ。
俺の個人情報は大切にしてくれ。
考えながら苦笑いを浮かべる。
そして凛花は歩き出した。
「気を付けて帰れよ」
(はい。じゃあ絶対に待ってます。明日)
「鈍感は止めてくれ」
駄目です。
先輩は.....本当に鈍感です。
全てが鈍感ですから、と書きながら俺を見てくる。
ニコッと笑みを浮かべながら。
それから俺を見てくる。
(でもそんな先輩はそれでも優しいですから)
「そ、そうか」
(はい。だから私は)
そこまで書いてから赤くなり首を振る凛花。
俺は???を浮かべながら見ているが。
その先の言葉を書く事は無かった。
代わりにスマホには、それだけの用事でしたので、と書く。
そして頭を下げた。
(では)
「お.....おう。気を付けてな」
すると。
こんな言葉を打って見せてきた。
わた。し、と言いながら。
そこにはこう書かれている。
(私、魅力ってあります?)
「いきなりだな。魅力?.....どういう魅力だ?」
そうですね.....。
私は男性に好かれたいので.....それで.....魅力があるかな、と。
と書きながら俺を見てジッと見つめ評価を待つ凛花。
俺は顎に手を添えて数秒考えて、あるよ、と答えながら凛花を見る。
「.....お前はモテそうだもんな。.....色々な人に」
(いえ。1人の男性にモテたら良いです)
「え?アイドルとか?」
(やっぱり先輩は鈍感です)
「.....え?」
俺は目をパチクリしながら見ていると。
凛花はそそくさと、じゃあ先輩。また明日、と書いて見せてから去って行く。
その姿を、お。おう、と言いながら見送ってから玄関に向くと。
ニヤニヤした祐子が.....。
「お兄ちゃんモテモテだねぇ」
「見ていたのかお前」
「それはそうでしょ。こんな場所で大声とか話し声とか。気になっちゃう」
「そ、そうか」
「でも現実本当にモテているの?」
「ナイナイ。こんな俺がモテる訳ないだろ」
まあ例えモテていてもな。
俺は考えながら最悪に失恋した過去を思い出す。
そして首を振ってから祐子に、家入るぞ、と促してから。
優子の返事を聞きつつそのまま家の中に入った。
過去、か。
ふとそう考えながら、であるが。
俺は唇を噛みながらリビングに向かい。
通学鞄を投げ置いた。
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