デジャヴッ!!

 ジェストくんが載っていた馬車と馬は無事で、そのまま王都に連れて行ってもらうことにしたのだが……。


「可愛い〜♡」

「髪の毛サラサラだねぇ」

「うちに欲しいわ〜」


 お姉さん達に囲まれている。しかも子供扱いだ。

 盗賊団に襲われたこともあって、安心してもらえて嬉しいけれど、これはいささか嫌だな。


 ちなみに盗賊団の人たちは、馬車の後ろらへんにくくりつけてあるロープに縛られて引きずられている。

 ジェストくんはなかなか酷いことをしているけど、相当イラついていたらしい。



 馬車を走らせること数十分、王都に到着した。

 盗賊団は身柄を確保され、僕らも無事に入国できた。


「ここいらでお別れやな、ライト。またどっかで会おうや!」

「うん! またね、ジェストくん!」

「あぁ……ほんま、叱られるの嫌やわぁ……」


 護衛をつけなかったことで、少しお話があるみたいだった。ご愁傷様と心の中で思ったけど、自業自得だよね……?


「それじゃあ僕たちは宿屋に行こっか」

「ギルドマスターが予約しておいてくれたんだっけ?」


 ミアの碧い瞳で見つめられながらそう質問される。


「うん、そうだよ。これで浮いたお金はお菓子代に……」

「ライト、ダイエットするとか言ってなかった? お菓子食べていいの??」

「んぐっ! …………ま、まあ、ちょっとだけ、ちょっとだけだから、ね?」

「ふーん」

「うぅ、じゃあお菓子かうのは少しにするよ……」


 信用のない返答をされたので、僕はお菓子を少し控えることにした。

 や、痩せたら大丈夫! いっぱい痩せたらその分だけお菓子を食べるんだ!!


 そんなこんなで、宿屋に到着した。


「予約していたライトです」

「はい、ライト様ですね。こちらの鍵をどうぞ」


 アーリャさんとは全然違うなぁ。アーリャさんは物腰柔らかっていうか、柔らかすぎると思うけどね。


 パタパタと音を立てながら廊下を歩き、渡された鍵の部屋まで行く。中に入るとそこは、アーリャさんの宿屋より一回りぐらい大きい部屋だった。


「ライト見て見て! ベッドふわふわ!!」

「わっ、本当だ! ……うーん、でも僕はアーリャさんの宿屋の方が落ち着くかなぁ」

「わかりゅ〜。ふわぁ……でもちょっと眠くなっちゃった」

「夜中に起きてそのまま寝てないしね。……昼ぐらいまでちょっと寝ちゃおっか」

「わ〜い!」


 服を着替え、ふかふかベッドに潜り込んでそのまま眠りについた。



###



「ん…………?」


 なんだかお腹が締め付けられるような……。ミアかな?


 そう思って横を見てみるが、そこにはミアがいた。


(……あれ? じゃあこのお腹の方にいるのは誰??)


 ガバッと布団をめくると、僕に抱きついている見知らぬ銀髪少女の姿があった。

 開口一番、僕はこう叫んだ。


「デジャヴッ!!」

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