助言
……今、僕は猛烈にピンチだ。
ミアが『下から嫌な気配がする』と言っていて、下を見たら巨大な骸骨がおり、その近くに人がいたから慌てて助けた。
けれど、助けたと思った人がアレを出した張本人だった。
ピンチな理由、それは……
(だ、誰だっけこの人……っ!)
黒いローブに身を包んだ謎の男性。
今さっき『久しいな、ライト』と、僕の名をちゃんと知っていたから知り合いなんだろうけど……全っ然思い出せない!
「ね、ねぇミア、この人誰か覚えてる……?」
小さな声でミアに尋ねる。
『んーん、全然覚えてない。こんなやつ知り合いだったっけ?』
「僕も全然覚えてないんだけどさ、あんなに自信満々に言ってるんだから知り合いだったんじゃないのかな……」
『でもライトが知り合いのこと忘れるなんてことなかったよね。じゃあ知り合いじゃないんだよ、きっと』
男性を蚊帳の外にしてしまっていたけれど、黙って待ってくれていた。
「あ、あのー……。僕たちって会ったことありましたっけ……?」
恐る恐る男性に話しかけて見た。
「ああ、あるよ。でも君がまだ物心着く前だから、覚えてなくても仕方がない。俺の名はメラース=カタラ、まあよろしく」
「は、はぁ……」
メラース……カタラ……? どこかで聞いたことがあるよう……あっ!!
「ま、魔王軍元幹部!?」
「正解だ」
魔王は数年前に勇者に倒されて、魔王軍は蜘蛛の子散らしたかのように散って消えたって聞いていたけど……。
まさかまだ生きていたなんて……!
「まあいい、それじゃあ早速――話を進めよう」
「『っ!?』」
一瞬で距離を縮められる。
僕もミアも臨戦態勢に入ろうとしたが、体の芯が掴まれたような感覚がして微動だにできなかった。
「リラックスして聞けよ、殺しはしないから」
「っ……!」
「そこの洞穴の中に、盗賊に襲われて捕まっている紋章師がいる。そいつに〝左手に〟新しい〝
「なに、を……!」
「これはお前だけじゃなくて。お前の周りにいる人たちのためにも言っているんだ。この助言は聞いといたほうがいい」
踵を返して背中を見せ、スタスタと歩みを進めるカタラ。
「そこの洞穴に入ったら、ちょっとしたトラブルがあるだろうけど乗り越えれるだろ。……あ、そうだ。あとひとつ言っておく」
後ろを振り向き、紫色の瞳を僕に向けながらこう言い放った。
「俺は――他の魔王軍幹部とは違う」
それだけ言い残し、地面にトプンッと沈んだかのようにして姿を消した。
「っはぁ!! や、やっと体動かせた……」
『何アイツ! 全然動けなかったんだけど!! も〜〜!!!』
ムキーッと怒りを露わにするミア。
……さっきのが魔王軍幹部なのは本当なんだと思う。邪竜のミアが動けなくなるほどだったし。
「あ、馬車が倒れてる! 洞穴にいるかもしれないから急ごう!」
僕らは急いで洞穴に向かって走り出した。
――だけど、この時の僕は動揺や焦りが混じっていて、
【追記】
今週末あたりでテストは終わるんで投稿頻度あがると思います!
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