凶星ノ魔王元幹部
ライトたちの街から王都に向かう途中、青々しい森が広がっているはずなのだが、今はそんな面影が一つもなかった。
木や草は枯れ果て、大地は紫色に変色していた。
その荒れ果てた土地の、唯一木や草が生えている洞穴あたりに人がいた。黒いローブを身に纏い、フードを深く被る青年と、その周りに倒れこむ盗賊らしき男たち。
「な、なんで俺たちの攻撃があたらねぇんだ……!!」
「ただの野郎かと思ったが、相当……強いぞ……!」
「負け知らずの盗賊団として有名だったのに……」
フードの中から、
「弱いなぁ……流石、三下盗賊団だ」
「んだとテメェッ!!」
「部を弁えろ。誰だか知らないなら教えてやるよ」
口を三日月のような形にし、己の正体を発言する。
「俺の正体は、かの〝
「ま、魔王の元幹部!?!? しかもカタラっつったら最恐の
「そゆこと♪ 次舐めた口聞いたら死霊たちが魂引っこ抜くから気をつけろ」
彼以外、この場にいる全員が萎縮する。
「まあいいさ、俺は今気分がいい。俺の目的を教えてやるよ」
すくっと立ち上がり、元幹部が口を開いて話を始める。
「お前らが襲った馬車に1000年生まれなかった伝説の魔物が乗っていた。しかし今は休眠中だ。そこで俺は、そいつを目覚めさせようとしているんだ」
「な、なんのために……」
「……それは言えないな。後二人……いや、〝一人と一匹〟で目覚めさせれる」
不敵な笑みを浮かべながら語っていた。
「おっと、話しすぎたな。お前らはもう引っ込んでろ」
地面に手を置くと、そこから巨大な骸骨が現れ、盗賊団たちを洞穴に放り込んだ。
「強大な力を持つ魔物をテイムするには、テイムする主も強くなくてはならない。……君は強すぎるから、弱体化させられているんだよ」
空から巨大な黒い何か落下してきて、骸骨を粉々に砕いた。
その正体は、青い模様が入った禍々しいドラゴンと、サラサラでミルクティー色の髪と琥珀色の目を持つ少年の姿だった。
「久しいな、ライト」
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