乙女(ショタ)の悩み
「おっは〜と言いたいけど、こんばんは〜。ライトくんにミアちゃん」
「こんばんわ、ですね」
お買い物の途中でひったくり犯を捕まえた翌日の夜、僕らはアーリャさんに挨拶をしていた。
「にしても災難だねぇ、王都行きの馬車が盗賊団に襲われるなんて」
「まあでも一応当てはある……っていうか、頼むんですけどね」
「大方予想はついてるよ。翼の調子は大丈夫そう? ミアちゅわん?」
ミアにそう言葉を投げかけるアーリャさん。
アーリャさんの予想は的中している。僕らというか、僕はミアの背中に乗って王都に向かうことにしたのだ。
なぜ夜かというと、邪竜が空を翔けているとこを見られたらたまったものじゃない。大騒ぎになってしまうからだ。
「私はいつでもいけるよー!」
「ん、それじゃあ行こっか」
宿の外に出て、人目のつかない場所まで移動する。
ぽんっと音を立てると、随分の小さなサイズになった竜の姿のミアになる。
『ライト、乗っていいよ』
「え、あ、うん……」
『ん??』
自然と歯切れが悪くなってしまった。ミアは疑問を浮かべていて、アーリャさんは何かを察したようでニマニマしだす。
『何か問題あった……?』
「あー……いや、ミアは大丈夫……。僕の方がちょっと……」
『ど、どうしたの? どこか悪いとか!?』
ミアが心配した様子で僕に駆け寄って来る。
……恥ずかしいけど、ちゃんと話すことにしよう。
「あの……。実は僕最近、お菓子を食べ過ぎちゃって……ふ、太っちゃったんだ……」
カーッと顔が熱くなる感覚をひしひしと感じながら、ミアにそう伝える。
「だから、そのぉ……重く、ないかな……って」
『…………ライト。ライトの悩みって乙女だよね。そんなに大して悩みじゃなくってよかった』
「き、気にしてることだもん! 男の子だって体重気にするもん!!」
『私は気にしないから大丈夫。ってか私、ライト前おんぶした時全然重くなかったから大丈夫だよ?』
「ほんと……?」
『本当!』
恐る恐るミアの背中に乗っかった。
「大丈夫?」
『全然問題なしっ! それじゃあ行っくよ〜〜!!』
バサッと翼を広げ、宵闇に向かって飛翔する。
「行ってら〜! もっと強くなって帰って来るんだぞ〜い!!」
「アーリャさん行ってきます!」
『行ってくる〜』
アーリャさんに別れを告げ、僕らは王都に向かい始めた。
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