千変万化するミア

「み、ミア……なのか……?」

『グルゥウ』


 多分だけれど、『そうだよ』と言っている気がした。動作がミアにそっくりだし、これはミアだと思った。


『ヴォオオオオオ――ッ!!』


 呑気に会話(?)をしていると、ブラッディオーガがこちらに向かって走り始めてきた。

 ミアはギロッとオーガを睨む。


『グォッ!?』


 オーガは怖気付いて走るのをやめてそこに留まる。ミアを見るに、相当怒っているようだった。


 街一つ飲み込んでしまうではないかと思うほどの巨大な口を開けると、そこは青く輝き始める。

 周囲の風も不規則に動き始め、大地が唸り始める。


「こ、これヤバ――」


 ミアの口から一筋の蒼き光がオーガに放たれる。オーガと大地に一直線の亀裂ができ、そこは炸裂して轟音が鳴り響く。

 天災が降り注いだかのようにおぞましい光景が眼前に広がっている。


「ぇー…………」


 僕も、ミアに負けないくらい大きな口をあんぐりと開けて驚いていた。

 だが、背中の痛みや疲労で、僕は意識を手放してしまった。



###



「ん……ここは……?」


 眼前に広がるのは白い天井だった。

 起き上がろうとすると背中が痛む。なんとか耐えて起き上がると、そこは僕の冒険者ギルドの休眠場みたいだった。


「僕何してたんだっけ……。確かさっき……ん??」


 違和感がある。

 『いつからこのベッドにはお前しかいないと勘違いしていたんだ?』とでも言っているかのように、僕にかかっている布団が不自然に膨らんでいた。

 恐る恐るて 手をかけ、バサっと布団をめくる。

 するとそこには――


「すー……すー……」

「お、女の子ッ!!?」


 黒色に青いメッシュが入ったサラサラな髪に、誰も踏みしめていない雪のように綺麗な肌を持った美少女。

 耳は少し尖っていて、両頬に青いひし形の鱗のようなものがあった。


 この街でこんな綺麗な子は見かけたことがない……。一体誰なんだ……? というかミアは!?


「み、ミアがいないっ!!」

「んんゅ……?」


 僕が叫ぶと、眠っていた美少女が目をこすりながら起き上がった。

 その瞳は、どこかで見たことがあるかのような美しい爬虫類のような青色の瞳だった。


「あ、えーと、ごめん! 僕は君に何もしてないから――」

「ライトっ!!」

「んっ!?」


 抱擁され、僕の顔面はこの子に付いている柔らかいモノにダイレクトアタックしてしまっている。


「もがぁー!」

「あ、ごめん! ライトが起きたから嬉しくって」


 えへへと言いながら僕を話す謎の美少女。

 全く身に覚えが……身に覚え……ん?


「あ、あの……もしかしてだけど――ミアか?」

「そうだよっ!」


 どいうことだ……ッ!

 僕が気絶する前はトカゲから竜に変化して、次は美少女に変化したとでも言いたいのかっ!?

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