永遠の灯
『-
「ほらエルル、タッチだよ!」
「……うぅ」
「ほーら、お願い、ね?」
「……はい、エル」
グダグダやらない言い訳を考えても仕方ない。
正義の味方としての使命感が拒否という選択肢をジャイアントスイングしてしまったし、可愛い女子高校生のためにもあともう一踏ん張りしたい自分もいる。
ここまできたらやぶれかぶれ、もうどうにでもな~れの精神だ。疲労系ヒーローの遙かその先まで駆け抜けてやる。
オレは銀の杖に触れて、灼熱の炎を全身から
それに相対するように、ガターノが眼前に降り立つ。その手に握られているのは、ティラノサウルスの牙がぞろりと並んだ剣。もはやノコギリと言った方が正しい見た目をしている。少しでもその刃で切られたら、断面がグチャグチャになること必至。傷痕も残るだろう。女の子相手に絶対振るってはいけない武器第一位だ。
「ドレイクセイバー!」
「そういえば、ドレイクは乗らないエルか?」
先客のアキュートとヘヴィはタクシー扱いしていたが、彼女はずっと地に足を付けたままである。別に乗ってほしくてたまらないって訳じゃないし、これ以上疲れたくないのだが、不思議だったので聞いてみた。
「だって、火力強くて熱そうだから」
「その剣持っておいてどの口が言うエル」
オレの体も剣も、どちらも炎で形成されている。熱さも大して変わらないだろ。
もしかすると、疲労最高潮のランナーズハイで、いつも以上の火力になっているかもだけど。……なにその、燃え尽きる直前が一番熱い、みたいな。死亡フラグかよ。
「ごちゃごちゃうるせぇ、くたばりやがれ!」
――ぶぅん!
大ぶりで襲いかかる血に
「させないエル!」
恐竜の牙に対して、オレは龍の爪――火炎の一閃でノコギリを弾き返す。
力と力の激突で衝撃が武器越しに伝わって、ガターノは怯んで動きが一瞬鈍る。それを見逃さず、ドレイクはすかさず炎の剣で斬りつける。
「はぁっ!」
「なんの――ぐぉっ!?」
寸前で身を
「やりやがったな、このメスガキャァッ!」
お返しとばかりに、ノコギリでズタズタにしようと
「あたしはメスガキなんて名前じゃない、
――ガキィンッ!
ドレイクは新たにもう一本炎の剣を生成して二刀流、そして剣同士をクロスさせて、禍々しい刃を受け止めた。
「なん、だ、とぉっ!?」
いくら力を込めてもノコギリの牙は届かない。ガターノの顔がみるみる
「食らうエル!」
「ごはっ!?」
オレは尻尾を横薙に振って、触手に覆われた体を
「オレを……舐めんじゃねーぞぉぉぉっ!」
それでもすぐさま起き上がると、ガターノはノコギリを構えて突撃してくる。戦術など皆無、感情に身を任せた力押し一本でオレ達を葬るつもりだ。
悪意に満ちた刃、もちろん甘んじて受けるつもりはない。
――ガキンッ!
オレは龍の
「う、動かねぇ……くそ、この、なんだこの野郎!」
「ひょへひふふぁひひゅひゅひぇひゃへはひへふ!(ドレイクは傷つけさせないエル!)」
「なに言ってるかもわかんねぇ!」
――バキバキッ、バキン!
炎の牙がノコギリを噛み砕き、その悪しき刃を無力化する。恐竜の破片は業火に焼き尽くされて、後に残るは大地に還る灰のみ。
さぁ、ようやくフィナーレ、幕引きの時間だ。
『-
「ドレイクドラゴニックフレイム!」
八の字を描くドレイクの指揮に乗せて空中を舞い、溜めた炎のエネルギーを特大の火炎弾にして解き放つ。
「ち、ちくしょおおおおおおおっ!」
真正面から火炎弾を受けたガターノは火柱を上げて吹き飛ばされる。
粘液で地面を濡らし転がっていく姿は丸焦げで、触手のスーツは更に黒さが増していた。
そこへ、同様に焦げて
てっきり必殺技を受けて爆発四散、お亡くなりになったとばかり思っていたが、彼らも案外タフである。
もう二、三発大技を撃ってとどめを刺した方がいいだろうが、こちらもガス欠状態だ。深追いする余裕はない。
ゾスの眷属もこれ以上の戦闘を望まないようで、
「次こそは、絶対ぶっ殺してやる、必ずだ!」
「我、近日再度降臨す……カミングスーン」
「今度は僕が圧勝するんだからね!」
などと三者三様の捨て台詞を吐くと、彼らは
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