第270話:Web小説の地雷を踏むか!
皆様、こんにちはそしてこんばんは。
毎度のことながら体調の思わしくないまにまにです。
寝たきりにならないだけましなのですが、そろそろ気力を使い果たさない程度の創作活動を出来るような習慣をつけねば。
◇
明日は、今日最終回を迎える賢いヒロイン中編コンテスト参加作品の2作目『銀髪幼女ハケン教師』(旧、進め、わらしべ幼女!)の総括をしたいと思います。
それを考えていたら、次回作の問題点が浮き彫りに@@;
地雷ばっかりでした。
Web小説の中でも地雷は沢山ありますが、そのなかで致命的なのは『新規性を追い求める事』と『感情移入した主人公が負ける事』『主人公が誰かに操られる事、支配下に置かれる事』なのです。
先に考えた『田沼意次の懐刀』は、このすべてに当てはまってしまう!
もともとWeb小説としての完成度は求めておらず、公募向けのアイデアでしたのでこうなりました。
『銀髪幼女』も同じく、PVや★がそれ程伸びなかったのはこのせいです。
ジャンル的なものと、どこを見せるかを公募に寄せたために起こった事。
下手に革新的なことをしない方がいいのですよね。
田沼意次の庇護下にいるけど、それを覆すやんちゃ性を見せようとしたのですが、もっと深刻なことに気づいてしまい。
まにまには
『江戸時代の文明は西洋文明よりも優れている』
と思っています。
(あえて文明という言葉を使います)
現在の新自由主義の世界は、生きやすいですか?
決してそうは思いません。
江戸時代の
「今を真剣に生きる」
「お互いに認め合い助け合って暮らす」
「不満を言わずに満ち足りた平和な生活を願い創造していく」
小中学校で習う陰惨な江戸時代ではなかったのですよ。
現代社会の常識からみれば
「科学技術が遅れていて幕藩体制によって自由がなかった」
と思われがちですが、知っています?
今の日本の税制は税率50%『五公五民』ですよ?
享保の改革以後、四公六民が五公五民に変更されて一揆が増加しました。
それでも隠し田や内職で別収入があった。
結構余裕がある年もあった。
だから化政文化なんかが花開いたのです。
その都市の繁栄を支えたのが地方の産業です。
それを収奪しようとすると一揆が起きます。
この社会を変革させるために主人公は『西欧の最先端な科学技術』と『自由主義』を持ち込むでしょうけど、それすると確実に日本の良い所を潰していく。
じゃあ、科学技術だけを持ち込めばいいのか?
そう単純なものでは無いのです。
『自由があるから科学技術の進歩がある』
自由の無い所に技術革新は起らないのです。
C国がなぜ、産業スパイを世界中に潜り込ませているか。
政治的な干渉・抑圧で自由な発想ができない。
だから他から盗んでくることしかできない。
論文・特許も数が多いだけで、ほとんどが大したものでは無く、基盤的な技術がない。ノーベル賞一つも取っていないのがそれを証明しています(文学賞除く)。
その少ない応用技術も海外からのパクリか、海外で研究した(教わった)技術を本国に持ち帰って「これは私が作ったんだ」と言い張っているだけ。
ちょっと長くなりましたが、このように自由な社会でないと基礎研究だけでなく全ての進歩が遅れます。
で、西欧では自由主義革命後に技術革新が一気に花開いたのです。
「頑張れば自分は立身出世できる!」
と。
でも本来の日本の良い所は違います。
「これを完成させれば、みんなが楽ができる」
「育ててくれた方に恩返しができる」
「地元を豊かにしよう」
「みんなで助け合って生きていこう」
これが壊されたのが明治維新だったのだと認識しています。
『学問ノススメ』
『立身出世』
この言葉に踊らされた日本国民は、江戸時代の
『足ることを知る』
『あるがままに生きる』
『みんなとの共生』
『恩返し』
という日本的な美を失っていった。
だから主人公は思い知らされなければなりません。
『ああ。西欧の絶対王政や自由主義は日本の文化文明よりも野蛮だ』
と。
外面だけの技術革新や文明開化をさせることで、多分Web小説のニーズは満たされるんです。
日本人を見下す主人公の上から目線で『優越感をあたえる作品』がニーズだと思います。
では主人公が『日本人』『日本そのもの』に凄さを見せつけられるというパターンはどうか?
これは優越感を逆転させられることになり、全く成功しない。
首取り物語のプロローグに使った『日本の方が優れているだよ!』という端的な逆転劇にこそニーズがある。
そうか。
だから三船敏郎のレッド・サンがウケたんですねぇ。
ラスト・サムライも西洋人から見た日本の侍の凄みを魅せた作品。
銀髪少女が絵になるからと言って、西洋文明・文化・科学技術を植え付けようとすると、日本の凄さに圧倒されそう。
もっと技術的なことを言えば、なろう小説では『ノーフォーク式農業』だとか『商品作物』を作り出すことでウハウハになるんですが、これも無理。
ノーフォーク式は物凄く労働力がいります。
ノーフォークという地方は普通に小麦を育てようとしても地味が悪すぎて生育が悪い。
だから工夫された『労働集約的な農業』なんです。
特に中耕作のカブなどの根菜類は粗放的に育てられない。
物凄く労働力がいる。更にその労働力が必要な時期は夏なんですよね。米作の農繁期とダブる。
つまり「そんなことやるんだったらおとなしく稲作やれ!」となってしまいます。
では昔からの五穀の代わりに、地味が悪くても冷涼でも育つライ麦とかエン麦を育てれば?
そう思って調べました。
ライ麦は確かに冷涼な気候、特に東北地方が冷害に襲われた時、有効だと思いました。
エン麦も行けるか? と思って調べたらこれは寒さに結構弱い@@;
ジャガイモは?
救荒作物として実際に使われていましたが、これ、畑を荒らします。
畑に雑菌が増えて、更には連作できない。
小麦も連作は出来ませんが。
だから日本ではコメとの二期作をして回している。
じゃ、エン麦とライ麦、豆類を輪作して、ついでに東北地方だから牧場として休耕させる。エン麦やライ麦を飼料にして、いつもは商品として牛馬を出荷。
飢饉のときはエン麦やライ麦を人が食べ、牛馬を処分して加工肉にする。
いや、これは食わんだろう。
食生活改革には何十年もかかる。それにまにまにとしてはやりたくない。
ということで、西洋の農耕技術はほとんど導入できず。
素直にその土地に合った作物作った方が効果的。
つまり昔からの五穀。
そのうちの『
冷害の時も干害の時もOK。
害虫にも強い。
ただしスズメに弱いww
うまく行かないものです。
だからその土地の『篤農』と呼ばれた、農業の研究者、例えば『二宮尊徳』のような人。この人の方がずっといい仕事ができる!
せっかく、いい『見栄えのする』プロットだったのですが。
田沼とそれに対立する松平忠信との関係をバックボーンとして展開するつもりだったのですが。田沼のコントロールのきかない主人公にしちゃおうと思ったけど。
派手な技術チートでの立ち回りは、多分目の肥えた歴史ファンにつつかれますね。
長くなったので、回をまたぎます。
このエッセイは、前にも書きましたが、まにまにの雑記ですので、こんな感じに書いておりますのであしからず。
何かのお役に立てれば幸いです。
ではまた~ノシ
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