僕たちはスライムと対峙していた。なんとかしてヤツを排除しないと先には進めそうにない。


 気にせず逃げ切ることも出来るかもだけど、もし追いつかれて背後から襲われたらと思うと背筋が寒くなる。


 あぅ……鳥肌が立ってきちゃったよぉ……。


「ミューリエ、スライムが最下級だろうとモンスターはモンスターだよっ! 特にアイツは気持ち悪いしっ! なんとかしてよっ!」


「やれやれ、臆病なヤツだな……。仕方ない。では、私が片付けるぞ? 良いな?」


「うん!」


 僕が頷くと、ミューリエはスライムのいるところまで歩み寄っていって剣を抜いた。そして軽く構え、切っ先をスライムの中心に向ける。あとはそのまま突き刺せば、おそらくそれで終わるだろう。


 でも、彼女は剣を構えたまま動きを止め、なぜか僕の方を向く。


「どうしたの、ミューリエ?」


「今回は熊の時のように止めないのだな?」


「え? だってモンスターは動物や虫とは違うよ。悪意の塊だもんっ! 僕の念だって通じないし……」


「……では、本当にスライムを殺してしまって良いのだな?」


 鋭い目付きで僕を真っ直ぐ見つめるミューリエ。その瞳の奥には炎と氷が共生しているかのような、熱くて冷たいという現実にはあり得ない複雑な光が灯っている。希望と絶望が入り交じっているというか、本当に良く分からない。


 ただ、ちょっと怖いような気がするのは確かだと思う。


 彼女は今、どういう気持ちで、どういう意図で僕に問いかけているのだろう? まぁ、考えても答えは出ないだろうけど。



 ――さて、どうする?



●スライムにトドメを刺すのを止める……→69へ

https://kakuyomu.jp/works/16816927860513437743/episodes/16816927860516978820


●スライムにトドメを刺すのを止めない……→36へ

https://kakuyomu.jp/works/16816927860513437743/episodes/16816927860515320624


 

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