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 なぜミューリエはスライムにトドメを刺すのを躊躇っているのだろう?


 モンスターは僕たちに害をなす敵であって、動物や虫などとは違う。僕の念が通じるのなら戦闘を避けることが出来るかもだけど、それが無理なら倒すしかない。


 ……殺してしまうのは可哀想だなって想う気持ちは、確かに少しはあるけど。


「ミューリエ、早くスライムを倒しちゃってよ!」


「分かった……」


 ミューリエはなぜか寂しげな瞳で僕を見ながらポツリと呟いた。


 その瞬間、僕の心はなぜか痛みと悲しさを感じ、切なさに包まれる。なんかスッキリしなくて落ち着かない。なんだろう、この気持ちは……。


 直後、ミューリエはそのまま剣を突き刺し、スライムはボトリと床に落ちて絶命した。今や単なる粘液の塊と化し、ピクリとも動かなくなる。


「と、とりあえず怪我もなく倒せて良かったね! ミューリエがいてくれて助かったよ♪」


「……行くぞ」


 僕は笑顔でミューリエに声をかけたんだけど、彼女はどことなく素っ気ない態度でスタスタと先に歩き始めてしまった。こちらを振り向こうとする素振りは全くない。


 しかも慌てて走ってすぐ横まで追いついたんだけど、それ以降は何を話しかけても相槌を打つくらいの反応しか返ってこなかった。


 怒ってるというところまではいかないと思うけど、不機嫌そうなのは間違いない。その空気を肌で感じる。


 ミューリエ、どうしたんだろう? 僕、何かおかしなことでも言ったかな?



 →12へ

https://kakuyomu.jp/works/16816927860513437743/episodes/16816927860514265411

 

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