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3が4になっただけの取り巻きが私に絡みつく。

「茉奈、今日もおっぱい柔らかいねぇ♡」

「戸倉さん♡ふぅ……♡シャンプー変えましたか?すぅ、すぅー……」

「、ぁ、三人とも……♡私の分も取っておいてよぉ……?」

「もう、希乃ちゃん、早い者勝ちだよ……」

「えへへぇ……、今日もやわらかぁい……♡」

いつもよりも騒がしい外野。いつもは傍でカリカリとお勉強をしているはずの人間が今では私に身体を密着させているのだから。そう思っていたのだが。

「あ、ようやく手出し始めた」

「ずっとノートにびっしり『ハーレム』のこと書いてたしね」

「いよいよか」

『ハーレム』。私を囲む女生徒たちが王族が築いたそれに見えるらしい。

その事実だけで頭がクラクラしそうになる。馬鹿馬鹿しくて。

そんなことより、みんなはもう知っていたのか。怖い。そしてそのノートを見てみたい。希乃の『茉奈の脚日記』だけじゃなく、あぐりまでノートをつけていたとは。勉強じゃなかったのか。一体何が記されているんだろう。好奇心と身の安全が鬩ぎ合っている。

「あ、あの、水谷さん」

「あぐり、って呼んでよぉ」

「あ、えーと、あぐり、……その、ノートの該当箇所って見せてもらえたり……」

「ああ、ノート?良いよ、見せてあげる」

「え、いいの!?」

予想以上にすんなり見せてくれる。かなりビビった。

「うん、でもその代わり……」

耳元で囁かれる。

「ぱんつ、みせて?」

「…………え?」

聞き違えかと思ったが、相手が相手だ。あり得ない話ではなかった。覚悟くらいしておくべきだったな、と裾を捲り上げる。

「わ、可愛い!白!」

「もう、声、大きいなぁ……」

智絵里の声がクラス中に轟いても、周囲はいつものことかと気にも留めない。それどころか、「そういえば、今日はピンクだった」「えー、おばさんっぽくない?」なんて好き勝手に話が発展していく。

「水谷さんのも見せてくださいましっ♡♡私のは、ほら……」

「あ、愛生の、も……可愛いね……♡」

「ありがとうございます、佐伯さん♡」

下着を見せ合う少女たち。これがいつも通りなのが意味不明だ。

「うわ、ほんとに縞々じゃん」

水谷さんの声がする。色んな女の子と戯れることができて楽しいらしく、いつもよりウキウキして見える。

「……お尻の形綺麗だなぁ、まんまるだよ、智絵里」

「そう?ありがとう!」

だが、智絵里と希乃もそれはそれで仲が良さそうだ。

「太ももまでの曲線が特に」

「んひゃぅ……!?」

希乃が智絵里の肉の柔らかい部分に人差し指を埋めてなぞる。こそばゆそうな声をあげて顔を赤くする智絵里。

「可愛い声をあげて……気持ちよかったんですかねぇ」

そういうと愛生は手の甲を口元に寄せてふふ、と品のある笑い声をあげた。

「急に触るからびっくりしただけ……」

「でもみんな、可愛い下着つけてたね」

見せつけフェチの水谷さん、いやあぐりの歓喜のこもった声がする。

「え?あ、うん……。あれはね……」

恥ずかしそうに頬を赤らめる。どうやら自分の下着のことを言われているらしい。……というか、今更だけど、なんで私の周りではこんなことが平然と行われているんだろう。


ちなみにノートは、どさくさに紛れて見せてもらえなかった。


智絵里とあぐりと3人の帰り道は、なんだか楽しかった。えっちなコトばかりのような気もしていたが、なんだかんだ友達としての相談事なんかもわりと智絵里は聞いてくれることが多いのだ。だが、もともとあぐりとも仲が良かったのか、普通の女の子の会話を楽しんでいるようで、いつもこんな感じだったらいいのにな、なんて思ったりしてしまった。6月の風が強く吹き抜けてはしゃぐ様子なんか、すごく普通にみえた。

「茉奈ちゃん、また明日ね」

「ばいばい、茉奈!」

2人と別れて帰路に就く。家に着いた私は、早速妹に指を差し出す。

「ぢゅる……っ、……っぷはぁ、……あぐ、お姉ちゃん、ごちそうさま……っ♡」

「はい、よくできました」

私が指についた唾液を舐め取ると、嬉しそうに笑う。

「今日はちょっと趣向を変えてみようかなと思って」

憧子がそんなことを言うので、

「なぁに?どうしたいの?」

「お姉ちゃんとキスしたい」

「へぇ、珍しいこともあるんだね」

憧子とのキスは好きだ。唇を重ねるだけで幸せな気分になれる。その先まで進みたい欲求もあるが、向こうは邪な気持ちじゃなくて単純に甘えてきているだけなんだし、今は憧子とこうしているだけでも満足だ。ただ、キスは久しぶりなのだ。高校入って初めてだろう。

「……だめ?」

「まさか。喜んで」

ベッドの上でお互い向かい合って座ると、憧子は目を閉じて口を尖らせた。

「じゃあ、いくよ」

「ん……っ」

憧子の肩に手を添えて、軽く触れるだけのキスをする。憧れていた行為なのに、どうしてだか緊張していた。

「……」

「……」

憧子は何も言わない。だからといってこちらからも何か言うことはなくて、そのまましばらく見つめ合っていた。

「……」

不意に緊張が解ける。襲ってくる凄まじい衝動と共に、彼女の小さな口に舌を押し込んだ。

「んぅ……っ!?」

憧子は驚いたように目を見開く。構わずにその奥へと侵入していった。憧子の口の中は、とても温かくて、湿っていた。そして、少しだけ甘い味がした。

「んっ、んん……!」

憧子は苦しそうに眉根を寄せて激しい接吻に抗議している。だが、離れる気はなかった。むしろ、強く抱き寄せる。

「んむっ、んー!んんん……ッ!!」

憧子の両手が私の胸を叩く。それに気づくのと同時に、彼女は顔を逸らして激しく咳き込み始めた。慌てて背中をさすってやる。

「げほっ、けほ……っ、……なにすんの、いきなり……」

「ご、ごめん」

「全く……でも、……乱暴にされるのも、悪くないかも……」

火照った顔、潤んだ瞳、やっぱり私は憧子が大好きだと思わされる。

「次からはアポとってよね」

「う、うん、ごめん」




「……みちゃった、ぁ♡」

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