新しい出会い

 最初は、彼女の言うことを信じていなかった。


 だが、自称母親が医師達を引き連れて部屋に戻ってきて説明を受け——




 ——「本当だったんだ。」


 僕は街の大通りで車に、はねられたそうだ。


 君、どうして分かったの?と、 僕は彼女に聞こうとした。すると、いつの間にかにとっても可愛い彼女が消えていた——




「ちょ、ちょっと待って。可愛いなんて勝手に付け加えないでよ!」


「いいでしょ。本当は思ってるくせに〜」


 彼女の説明は大体は合っているが——


                 ——「大袈裟なところ多くない?」


「これぐらいしないとみんなに伝わらないでしょ!」


 だれにだよ!


 僕は心の中でツッコミを入れた。


 そもそもこの子はだれなんだろう。僕は質問をしようとした。



「あの、——」


「ねぇ、君って、私となんの繋がりがあるの?」


 彼女の方が、先に聞いてきた。




「そんなの、今の僕にわかるわけないじゃないか。」


「じゃあ、2×5は?」


 え?どう言う質問?


「10だけど……」


「んー計算ができるってことは、全部の記憶が消えてるわけじゃないんだね。

   じゃあ、君はなんの記憶が消えてるの?」


 あー。言われてみればそうだ。


「そうだね………んー………。僕にも分からないな。」


「マジかぁ!」


 彼女は、「そんなに悩んでおいて。」と笑いながらずっこけた。



 やけに、元気だな。



「君こそ、なんの記憶が消えたの?」


 僕がそう質問すると——




「——なんだろうね。私にも分からないな」



    

            ——謎の間があいた。


 テンションもさっきと違って低いし、表情も暗い。





「じゃあさ!対決にしよう。」


 僕は、空気を変えようとして意味のわからない提案をしてしまった。



「………いいね、それ!」


 だが、彼女はそのおかしな提案に乗ってきてしまった。





 1、先に消えてしまった記憶を取り戻せたほうが勝ち。


 2、誰かに手伝ってもらうのはアリ。


 3、嘘はダメ。


 そして、謎のルールを決め、病室から出て行ってしまった。


 彼女の表情が戻ったからよかったけど………僕は、どうやったらまた彼女に会えるのだろうか。


 毎回、向こうの方から来るし、病室も名前でさえ知らないのだ。



「まぁ、いっか。」


 僕は考えることをやめ、寝ることにした。              






 しばらくして——


「お見舞いにきたぞー!」


 ——知らない男が大声を上げ、病室に入ってきた。

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