第6話 これ、バチですかあ?

 気が付くと……。


 白い天井。ベッドの上?

 頭がズキズキする。


 ここは何処どこ? 私は誰?

・・・って、私は多喜ハルカよ!


 でも、ホントに、ここは、いったい何処?



「Did you regain consciousness?  How do you feel?

(気が付かれましたか? 大丈夫ですか)」


 うん? 流ちょうな英語……。

 長野に居たはずなのに、どういうこと?

ここは、ホントに何処なの?

 もしかして、私、突然ポックリ死んじゃいましたあ?

天国って英語で話すのかな?


 ・・・。

 って、そんなわけあるか~!


 話しかけているのは看護師さんだ。


「あ、あの。私、こんなですけど、日本人です。日本語でお願いします…」


 英語なんかで話されても、理解できない!

英語は苦手科目だっちゅうの!

 まあ、金髪白肌の私を見れば、外人さんだと思っても仕方ない。

よくあることですけどね。


「え?! あ、ごめんなさい。あ……、もしかしてアル…。

あ、いえ。その、自分が誰だか、分かりますか?」


「そ、それは分かりますが……」


 アル…って、そんなね。そこで止めないでよね。

アル中じゃあ、ないんですからね。

 お酒は大好きだけどね……。


 でも、私の赤い瞳を見て正体を見抜いたよ。

英語も話せるみたいだし、なかなか出来る看護師さんじゃないですか。


「具合は、どうですか? 気持ち悪かったりしません?」


「え、ええ、気持ち悪くはないですよ。頭は、ちょっと痛いですけど……」


 直ぐにお医者様が呼ばれ、私はしばらく診察を受ける…。

その後、紫はかまの神主さんが病室に入ってきて、何があったか教えてもらえました。

境内の木の枝が折れて降ってきて、私の頭を直撃したのだと……。


 気絶している間に色々検査されていたようで、骨にも脳にも異常は無いということ。そのまま病院を出ました。

 頭を包帯でぐるぐる巻きにされても困るなって思っていたら、出血がある訳でもないし、大した事なさそうだからって、特に何もなし。

えーと、一応、ズキズキ痛いんですけど、大丈夫なのかな…。

 何もしてもらえないのは、それはそれで心配になる……。


 それに、痛いのは、丁度今朝、お御籤みくじで入念に頭スリスリした場所辺り…。

 いったい、何のバチですか、これは…。


 「お前なんかのパッパラ頭が良くなるわけないだろ、この阿呆~!」

 ってことですか?!



 ……で、神主さんの車に乗っけてもらい、つずら屋さんの前まで。

しかし、もう夕方。閉まっています。

私、何時間気を失っていた?


「つ、つ、つ、つずら屋さんの、お蕎麦が……」


 あんなに楽しみにしていたお蕎麦! 食べられなかった……。


 酷い! 酷いですよ、神様!

千円もお賽銭上げたのに!


 涙目になっている私を憐れんだ神主さん。傷も心配だし、今晩泊めてあげるとのお申し出。お蕎麦もご馳走してもらえるとの事。

 そういえば、予約してある今晩の宿、ここからかなり距離がある…。

今から向かうのも大変……。


 そのことを話すと、神社の責任だから、キャンセル料も出してもらえると…。

その上、今晩おもてなしをしてもらえるとなれば、受けるしかない!

 私は、お世話になることにしました。


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