第5話 戸隠神社中社

 さてさて、到着しました長野県長野市戸隠。

蕎麦そばの聖地です!

 戸隠とがくし神社中社ちゅうしゃ前にある「つずら屋」さん。

ここの蕎麦は、絶品な~ので~す!!


 来るのは、今回で六度目だったかな…。

店の前は、いつものように大行列!


 私は金髪白肌に加え、紫外線防止のサングラスという、目立つ姿。

人が多いところは好きじゃない。

食べ物のお店に入るのに並ぶなんて、モッテノホカなんですが、ここは別です。

 並ばないと食べられない。

ならば、奇異の目を受けても、並ぶ価値は十分あります。


 それに、並ぶと言っても、ずっと待っている必要は無いのです。

 入り口前のノートに名前を書いておくと、順番に呼んでもらえる…。

順番の時にいないといけませんが、それまではどこにいても良いのです。



 ここで私がいつも頼むのは、ざる蕎麦の「大権現盛り」。

これ、大盛りの二枚分みたいですが、美味しくてペロッていっちゃうんですよね。

 え? 女子が頼むものじゃないって?

 ほっといて頂戴!


 あ、あと、天ぷら盛り合わせ!

秋のキノコの天ぷらも最高ですが、この時期の山菜も捨てがたい!

 ん? 太るぞって?

 んんん~!!良いでしょ、たまには!!

 一々、ウルサイ~!!


 ・・・失礼。


 久しぶりの、つずら屋さん。今回も、ガッツリ食べるぞ~!


 と、まあ、そんなで、離れた駐車場に車を止め、店前のノートに名前を書きました。


 消されていない名前が結構並んでいます。

入店済みの人の名前は、線で消されてゆくのです。

 今日は、いつも以上に混んでいる。

春休み時期だからかな?


 だいぶ待たされそうですので、先に、すぐ目の前の、戸隠神社中社にお参りしましょう。


 軽くお辞儀をして鳥居をくぐり、ドーンとそびえる石段を上って拝殿前に来ました。


 ここの御祭神は天思兼命あめのおもいかねのみこと

神話によると、天岩戸隠れの際に、天照大神に出て来てもらう為の計画を練ったという、知略の神様。

 今朝もお御籤みくじで頭を入念にさすっておきましたが、あれで大凶の悪い気が無くなったところへ良い知恵をお授け頂きたい。

私、これから仕事をどうするかも決まっていないのですからね。


 お賽銭さいせんは、奮発して、お札で千円!

二礼二拍手、


「どうか、良い仕事が見つかりますように!」


一礼っと。


 よし、じゃあ、恒例のお御籤いってみよう。


 悪い運気は、朝、名木林神社にみんな置いてきた。

だから、大吉間違い無しよ!



 ここ戸隠神社のお御籤は独特です。

自分で引くのではなく、神主さんが祝詞をあげながら引いてくれるのです。

なんだか、とってもアリガタイ感じ!


 ただ、その際に年齢が読み上げられる。

渡されるときも、「二十二歳、女性の方~」。


 ・・・。

 あ、私だ。


 お年頃?の女子としては、これは、ちょっとハズイっすよ~。


 値段も、ちょっとお高めで300円也。

まあ、普通のとは違いますから、仕方ありませんね。


 で、その結果は…。

 う、嘘……。


 開いた御籤には、毛筆で大きく『大凶』!


 そ、そんな馬鹿な……。

お、おかしい!絶対おかしい!


 だって、「大凶」としか書かれてないよ。

それだけって、ありえないでしょ!

 これは何かの間違いに違いない!


 引き直し!


 巫女さんに訊いてみるという手もありますが、大凶のお御籤なんて、見せたくないよ。引き直すしかありません。

 こんなアリガタイお御籤を二度続けて引くなんて人は、普通いないでしょうね。

受付の巫女さんの白い目……。


 ごめんなさい。私は真剣なんですよ!


 で、再度恥ずかしい思いをしながらの二枚目。

ドキドキしながら、開くと…。


 『大当たり』


 は、はあ??


 ・・・。


 え、え~っと…。な、ナニコレ……。


 ・・・・・。



 さっきと同じく、毛筆で、その一語だけ。


 大当たりって、福引じゃあないんですから……。


 これは明らかにおかしい。

流石さすがに、おかし過ぎる。

どういうことか巫女さんに聞こうとした、その瞬間!


「あんぎゃ~!!」

 目の前に火花が散った!


 私が覚えているのは、自分が上げた、超情けない叫び声……。



 そのまま私は、意識を失いました。

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