第4話 氏神様
氏神様は、直ぐ近くの
元伊勢伝承に関わる二千年以上の歴史の、由緒ある古社。
でも、なぜか寂れているのですよね。
草ぼうぼうで、全く人の気配がしない神社。
まあ、そこが私は好きだったりして、小さい頃、よくお参りに来ていました。
私は、人が少ないところの方が好きでしたから……。
着いてみると、あれ? 以前と様子が変わっている。
八年の間に何があった?
社務所が新しい。前の社務所は西側にあって、古くて傾いてお化けでも出そうだった…。
それが場所も変わり東側になって、超綺麗になってる…。
境内も、掃除されてる…。
どういうこと?
あ、拝殿に張り紙が…。
え! 次回の
なにこれ。以前は、こんなの無かったはず……。
どうも、神主さんが変わって、色々始めたようです。
う~ン…。私としては、以前の寂しい感じが好きだった…。
参拝者が増えるのは困る!
あ、いや、そんな勝手はダメよね…。
神様だって、お参りが多いほうが嬉しいだろうし、境内も綺麗な方が良い。
これは仕方ない……。
あら、お
私、神社参拝の際には、必ずお御籤引くんですよね。
あれば、ですけど。
え~と、まずはお参りして…。
二礼二拍手、
「これからお世話になります。宜しくお願い致します。
それから、早速ですが旅行に出かけてきます。道中無事で帰ってこられますように!」
で、一礼っと。
それでは、早速お御籤を…。
神主さんは常駐していなく、無人状態。箱に100円を入れて御籤箱の中を探り、一つ引きます。
私の運勢、どうかな…。
期待しながら開いてみると……。
ガ~ン!!
な、な、な、な、な、なんと、大凶……。
……運勢、八方
普通、こういうお御籤って、凶は入れないモノじゃない?
それも、大凶って!
あ、なんか、説明書きがある。
よく見ると御籤箱の隣に説明書きがありました。
それによると…。
運勢には、良いときもあれば悪いときもある。
良いときだけというのはありえない。
神のお告げを受けるのが御籤だから、当社の御籤には吉と同数の凶が入っている・・・
嫌だ~!納得いかない~!!
……でも。
まあ、私の今の状況。
初出社日に会社が倒産って、世間一般から見れば、間違いなく最悪だわ。
当たっていると言えば、当たっている……。
そう! 今が、最悪なんだ!
大凶より下は無いから、これから上がるだけじゃん!
うん、これは縁起良い!
やっぱり、私はラッキーガール!
これから、上がるだけだよ~ん!!
なになに? お御籤の説明書きには続きがある。
え~と、悪い籤を引いた場合は、その籤で体をさすり、息を吹きかけて悪い気を籤に移し、神社に置いて行く様にか…。
へ~。その籤は、後でお祓いしてもらえるんだ。
アフターサービス、バッチリじゃん。
よしよし、では体をさすり…。
頭も良くなりたいから、念入りに頭もスリスリ…。
で、息を吹きかけて、引いたお御籤を入れる箱へと…。
これで良し!
さあ、長野へ出発! 美味しいお
―――――
この時の私、大凶に驚くあまり、最後まできちんとお御籤を読みませんでした。
そのお御籤、よくよく最後まで読むべきでした。
運勢の下の方、旅行運の欄。「即刻、中止すべし」と書いてあったらしいのです。
御籤は神のお告げを受ける為の物…。
私は旅行に行くから道中無事帰ってこられますようにと願掛けして、お御籤を引いた…。
「行くのを止めよ」というのが神様からのお告げだったのですが……。
―――――
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます