第3話 実家、そして遁走計画

 そんなこんなで、久しぶりに帰ってきました実家です。


 中学の二年まで住んでいたところ。

その後は祖母に引き取られたので、中学時代の残り一年間は祖母の家。

高校時代は、祖母の家では超山奥で不便過ぎるために下宿。

大学は京都でしたので、当然、下宿。

ということで、無人状態で約八年間放置してました。


 敷地は草ぼうぼうで、蜘蛛の巣だらけ。部屋の中も埃っぽい。

 こりゃ、大変だわ……。


 近所の人が、離れたところから、ちらちら覗いています。

八年前まで住んでいたのです。私のこと知らないはずが無い。

でも、話しかけてはこない。

「死神」なんて話し声も、うっすら聞こえてくる…。


 こら、しっかり聞こえてるぞ!

 私、耳は良いんだからな!


 そうよ、私は死神! ここではそう名乗ってやろう。

そうすれば、鬱陶しい近所付き合いしなくても良いじゃん!

近づいたら~、取り殺しちゃうぞ~!


 この容姿も、使いようだ。使えるものは、何でも使う!

 私は、ラッキーガール!!




 さてさて、実家に戻ってきたは良いのですが、何から手を付けようか…。

 取り敢えず、寝る場所の確保かな?


 建物は母屋・西離れ・東離れ・水屋の四棟あり、父と一緒に住んでいた時は「東離れ」を使用していました。

門をくぐって一番近い所にある建物です。

 やっぱり、ここが一番使いやすそう。

他の棟と違ってリフォームされていて、水洗トイレもあるしシャワーも設置されているのです。

 ちなみに、この邸宅内には昔ながらの五右衛門風呂も健在です。

母屋の張り出し部分にありますが、まあ、使うことは無いでしょうね…。


 文明生活を送るのに不可欠な電気は繋がっていて、契約は生きているので、即使用可。水道もOK。

 かまどもあって、まきで調理可能な設備は整っていますが、一人だけなのにそんな大仰なものはね…。

やっぱりガスは必須。ガスが無いとシャワーも使えない。

 まずガス屋さんに電話しないと…。

 それから、部屋の掃除……。


 と、こんな感じで、順番に掃除したりして東離れの一階部分を一通り、使用可能にはしました。


 ……が!


 まだ二階があるし、あと建物は三棟もある。

広い敷地の草取りなんかも…。

あ、仕事も探さなきゃ…。


 あ~! なんか無性に、モヤモヤ・ムカムカする!

嫌、もう嫌! 疲れた!

 これは、リフレッシュが必要だ! 続きは、リフレッシュの後!


 私のリフレッシュといえば、旅行です。

なんだかすっかり嫌になってしまった私は、毎度の一人旅へ出ることにしました。

 鬱々しながらゴソゴソやっていたって、良い事なんかありません。

気分転換は必要なことですよ!



 さて、ど~こへ行こうかな…。


 う~ん、美味しい蕎麦そばが食べたいな…。


 あと、新鮮なお刺身も!

海無し県の岐阜県民は、海鮮に憧れるのよね…。


 となると、長野から富山に抜けるコースかな。

じゃあ、その二泊で早速宿の手配だ!


 ということで、思い立ったが吉日。明日は、旅行なのであります。

 いきなりではありましたが、宿も予約し、その日は片付けが終わりきらない家の、寂しい部屋で過ごしました。

 思い出さないようにしようとしても、父との思い出いっぱいの場所…。

一人で居ると、思い出さないはずないんですよね……。

 まあ、それはよしとして、翌朝です。

 気分一新、出発進行! 


 あ、でも、その前に……。


 よく考えたら私、昨日戻ってきて、氏神様にご挨拶していなかった…。

これは、神社大大大好き女子としては、大失態!

 出発前に、ご挨拶しておきましょう。

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