冬は持久走で暖かくなろう!
「♪冬がくーれば思い出す~、霜焼け地獄~、隙間風~! 夏の間は言っていた~、夏より冬のーほうがいい~」
「寒い」
「この流れ、五ヶ月くらい前にもあった気がするぞ、山川」
「体育は嫌いじゃないが、こうも寒いと苦痛以外の何ものでもないな。いっそ雪でも雨でも降れば、室内で保健体育になるのに」
「ばかっ! 山川の根性無し! 俺から体育の時間を奪おうとするんじゃない! 寒いからこそ、運動で体を動かして暖めなきゃいけないんだろうが!」
「冬でも半袖ハーフパンツ男は黙れよ。見てるだけで寒い、ジャージ着ろ。サッカーやバスケならまだやる気も出るけど、今日は持久走だろ? 気が乗らないな」
「俺は勉強しないで体を動かせるなら、持久走だろうが寒中水泳だろうが文句は無い」
「今ならプールは貸し切りだぞ」
「えー、水着は持ってきてないんだよなぁ。着衣水泳でもいいけど、ずぶ濡れで授業に出るわけにいかないし。静かなプールでスケートを楽しむアメンボさんたちをびっくりさせたら可哀想だし」
「俺が悪かったから、真面目に検討するんじゃない。あと、こんな時期まで平然と生きてるアメンボなら、ちょっとやそっとじゃ驚かないだろうよ」
「とにかく、今日は持久走に集中するぞ! 勝負事の方がやる気が出るならさ、山川、どっちが早いか競争しようぜ!」
「まぁ、別にいいけど。勝負となると、何か賭けるのか?」
「ええと、そうだなぁ……山川、寒いんだよな?」
「寒いな。今すぐ教室に帰りたい」
「じゃあ、お前が勝ったら、俺のジャージを貸してやるよ。二重に着ればさすがに寒くなくなるだろ」
「走って暑くなったあとじゃ意味が無いし、走る前でも着たくない。というか、そもそもお前、ジャージを持ってきてすらいないだろ」
「俺が勝ったら、次回の授業から山川も半袖ハーフパンツ男になる☆」
「……ちょっと真剣にストレッチしてくる」
※本日の替え歌元:「夏の思い出」江間章子 作詞/中田喜直 作曲
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