田中君と山川君(弟)~学校祭~

「ねぇねぇ、恭輔。今日から三日間は、ケン兄たちの高校の学校祭なんだってね」

「そうらしいね、翔悟。でも外部参加は不可らしいよ。どちらにしろ、平日だから俺たちは行けないけど」

「ちぇー、残念。俺も参加できるなら行きたかったなぁ」

「そうだなぁ。高校の学校祭とか、きっと中学よりずっと大きな規模だろうし、見てみたいよな」

「違うよ、恭輔。俺は学校祭自体よりも、祭の中で輝くタク兄さんが見たいんだよ!」

「はぁ? なんで兄貴なんか見たがるんだよ。そりゃあ、健悟兄さんが企画したっていうなら、ハイレベルで見応えもありそうだけどさ」

「ケン兄の無難なだけで面白みゼロの優等生企画なんてどうでもいい」

「相変わらず健悟兄さんへの当たりが冷たい」

「だってタク兄さんだよ? あとで打ち上げの話の肴になりそうなこと、絶対に色々とやらかしてるもん。一見どころか百見の価値ありだよ!」

「なんだよそれ? いくら兄貴がお祭り気分であほみたいに浮かれてるって言ったって、そこまで馬鹿なことは――」

「合唱祭の本番直前に舞台に飛び出して、一人でマイクパフォーマンスを披露しちゃうとか! 文化祭のオバケ屋敷で、どさくさまぎれにカップルに呪いの言葉を浴びせるとか! 体育祭でアンカーにバトンを渡した後、対抗意識を燃やして一緒にゴールまで走り抜けるとか!」

「――馬鹿な、こと、は……」

「やりそうでしょ?」

「やらない、と、思いたい、けど……っ!」

「見たいでしょ?」

「見たくはないぃぃぃ……!」

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