学校祭を楽しもう!~その6・体育祭出場~
「おらぁぁぁっ! 見たか山川、百メートル走、堂々の一位だぜぇぇぇ!」
「ちゃんと見てたよ、おめでとう。さすがだな、田中。年間通してお前が唯一クラスから必要とされる貴重な瞬間だもんな」
「違うぞ、それだけじゃない! テストの平均点を下げるのにも一役買っている! 俺のおかげで赤点を回避した連中が、一体どれだけいると思ってるんだ! どれだけ……い、いると……思っ……!」
「泣くほど情けないなら口に出すなよ。それで、他にお前が出場する競技は?」
「八百メートルリレー! これは山川も出るよな。弥富と仲楯と俺たちの四人で、幼なじみ旋風を巻き起こしてやろうぜ!」
「そうだな、俺も気合い入れないと。一位は無理でも、決勝くらいまでは残れるかもな」
「あと、クラス対抗大縄跳びだろ。それと、借り物競走に欠席者が出たから、代走することになった! もちろん部対抗リレーも出るぞ!」
「部対抗リレーって、真剣に走る部門と、パフォーマンス部門があるだろ。サッカー部はどっちだ?」
「マジ部門! この時だけはクラスの団結も忘れて、テニス部山川よ、いざ尋常に勝負!」
「テニス部は代々、一年生が走るのが伝統だ。俺は出場しない」
「えええ、そんなぁ。同じクラスの山川と対決できる競技なんて、部対抗しかないのにぃ? やだやだ、山川と勝負したい! 死闘の果てにゴールテープを切った先で二人揃って倒れ込んで、グラウンドに寝転んだまま『やるじゃねぇか』『お前もな』って会話を交わしたい!」
「妄想が古すぎて逆に斬新」
「ならば仕方ない、八百メートルリレーで勝負だ、山川!」
「同じチームだって言ったばかりだろ。お前が第三走者で俺がアンカー。勝負できるわけが――」
「俺、お前にバトンを渡したあとも、そのまま一緒に走り続けるから!」
「――あ?」
「先にゴールテープを切った方が勝ちだからな! 俺の方が二百メートルも多く走るんだからな! 出血大サービスのハンデなんだからな!」
「忠告はしておく。本当にやったら、ゴール後に張り倒す」
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