学校祭を楽しもう!~その4・文化祭準備~

「♪オバケなんていーるさ~、オバケなんてマージさ~!」

「浮かれ切ってるな、田中。クラス企画がオバケ屋敷だとか、この高校の文化祭、レベルが低くて心配になる」

「レベルだろうがラベルだろうが知ったことか! こういうイベントは内容云々じゃなくて、生徒が主体となって楽しくやることに意義があるんだぞ」

「うわ、田中がまともなこと言ってる」

「俺はいつでもまともですううう! まともじゃない日なんて年に三百六十四日くらいしかありませんんん!」

「年に一度のレア田中か。閏年でも年に二回しか見られないとは」

「失礼なこと言ってる暇があるなら、山川、お前も準備を手伝えよな!」

「はいはい、悪かったよ。で、どんなオバケ屋敷になる予定なんだ? 俺は学術展示の担当だから、企画の詳細はノータッチなんだよな」

「おう、これが企画表で、こっちが配置図な。入り口は教室後方の扉で、道が複雑だとかえって萎えるし危ないから、単純な造りにする予定。窓は暗幕と段ボールで塞いで、客には懐中電灯を持って貰う。入場は一人か、もしくは二人一組で」

「へえ、無難というか、当たり障りの無い設計だな。肝心のオバケや驚かし方は?」

「まずこのポイント、客の首筋に糸コンニャクを垂らす!」

「怖い以前に気色悪っ! なんであえて糸コンニャクなんだよ、首筋ずぶ濡れになるだろ」

「そしてここで満を持してのオバケ登場! 『悪い子はいねーがぁぁぁ!』」

「『頭が』がついたらお前のことだな。あとナマハゲはオバケじゃない。秋田県男鹿市に謝れ」

「この壁の下から手が出てきて、客のすねをネコジャラシで撫でる! そして上からはオナモミがパラパラ降ってくる!」

「地味に驚くし、退場後に地味にオナモミの始末に困る。何かと物理刺激に頼りがちじゃないか、このオバケ屋敷」

「そして客が男女カップルの場合は、どこからともなく声が飛ぶ! 『ヒューヒュー、秋だってのに暑いねぇ、お二人さーん! ……呪わレ、ろ、ぉォォぉぉ……オぉぉぉっ!』」

「それが一番怖い」




 ※本日の替え歌元:「おばけなんてないさ」槇みのり 作詞/峯陽 作曲

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る