学校祭を楽しもう!~その2・合唱祭当日~

「見てくれ山川! どうかな、俺、似合ってる? トレンドっぽく着こなせてる?」

「クラスTシャツの着こなしにトレンドも何も無いとは思うが、悪くないんじゃないか? うちのクラスのデザイン、割とセンスいいよな」

「へへへ、これでクラスの団結力がいっそう高まるよな。絶対優勝するぞぉぉぉ、コラソぉぉぉぉぉ!」

「どんな掛け声だ。得点や勝敗がはっきりしてる競技ならともかく、合唱じゃ審査員も配慮して加点するだろうから、俺たちが上級学年を差し置いて優勝するのは難しいと思うぞ」

「ああもう、せっかくのやる気に水を差すようなこと言うなよ、山川ぁ! 母さん、お前をそんな子に育てた覚えはありませんよ!」

「奇遇だな、俺もお前に育てられた記憶は一切無い」

「合唱だってなぁ、最終的には実力がものを言うんだよ! 審査員が三年生に下駄を履かせて、なお足下にも及ばないくらい、圧倒的かつ素晴らしい歌声を披露してやろうぜ!」

「まあ、俺たちだって頑張ってきたわけだし、練習の成果は発揮したいよな。舞台でちゃんと声が出るように、今のうちに発声練習でもしておくか」

「おっしゃあ、いくぞ発声練習! ♪ダ~↑ダ~↑ダ~↑ダ~↓ダ~↓!」

「どうしてあえて『ダ』をチョイスした。濁音が耳につく」

「いくぞ腹式呼吸! ヒッヒッフ~ゥ、ヒッヒッフ~ゥ!」

「何を出産するつもりだ」

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