学校祭を楽しもう!~その1・祭りの前~
「いよいよだな、山川」
「ん? ……ああ、そうだな。いよいよだな」
「混沌の闇より生まれ、人類の滅亡と世界の破壊を企む悪しき大魔王を討伐するため、住み慣れた故郷を旅立つ時がついに来たな。亡き師から譲り受けた古い剣と鍛え抜かれた技、知恵と勇気と微かな希望を旅の道連れにして、俺たちの冒険が今!」
「始まらねぇよ。あたかも俺がお前のお遊びに加担してるかのような誘導をするんじゃない」
「ちっ、さすがに乗ってこないか。いやぁ、そろそろこのシリーズもそういうジャンルに方針転換してもいいよなぁって常々思ってるもんだから、つい希望が口をついて?」
「なんの話か知らないが……中学二年生も呆れる馬鹿丸出しの夢想をするのはお前の勝手にしても、痛々しいから口には出すのは控えておけよ。それで、『いよいよ』っていうのは学校祭のことじゃないのか?」
「そうそう、ついに明日からだな! くぅー、わくわくするぅ! この高揚感がたまんねぇ!」
「お前に落ち着きが無いのは通常運転だが、ここ数日は校内もすっかり浮足立ってるからな。伝統とはいえ、合唱祭・文化祭・体育祭を三日間で集中開催なんて無茶する高校、全国的にも少ないんじゃないか?」
「いっそ収穫祭とか謝肉祭も同時開催して、フェスティバルウィークにすればいいのに」
「ここはいつから農業高校になった」
「祭ごとの順位もつくし、最終的には総合結果も出るとなれば、張り切らざるを得ないよな。企画の準備も、合唱や競技の練習もばっちりだし、あとは本番を待つのみだ!」
「まあ、参加するからには楽しまないとな」
「おいおいおいおい山川君よ、そんなぬるい姿勢でどうするんだよ! 参加するからには、狙うのは当然、総合優勝だろ!」
「優勝とは、また大きく出たな。三年生もいるってのに」
「当たり前だ、先輩だろうがなんだろうが、全身全霊全力で蹴落とすぞ! そうとも、完膚なきまでに叩きのめして床に這いつくばらせてやる! 死屍累々の頂で最後に笑うのは俺たちだぁぁぁ!」
「ここはいつからコロシアムになった」
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