田中君と山川君(弟)~応急救護~
「ええと、意識と呼吸の確認後、胸骨圧迫が三十回……」
「あれ、恭輔、さっきの授業の復習? まじめだなぁ」
「うん、次の保健体育の試験範囲だし。それにいざって時に必要な知識だもんな」
「音楽や美術や道徳よりは分かりやすく有意義だよね」
「色んな方面に向けて謝りなさい、翔悟」
「でもさぁ、きょん。心肺蘇生法も大切だけど、いまひとつ現実味が無いと思わない? もっと日常的に使えそうなことも習っておくべきだと思うんだけどな」
「っていうと?」
「突き指とか捻挫みたいな、日頃から直面しやすい軽い怪我の手当てとか」
「あー、それは確かに。手当ての仕方って、習う機会があんまり無いもんな。鼻血とか打撲とか」
「ギックリ腰で立てなくなっちゃったお父さんを助けてあげる方法とか」
「……確かに、いざ直面したら、どう対処していいか分からないかも」
「バレンタインに押し付けられた石見銀山鼠捕りが混入したチョコケーキを食べて、半死半生になってる人への応急処置とか」
「やだなぁ翔悟、そんな日常があるわけ……え? 健悟兄さんのことじゃないよ、な? 冗談だよな?」
「片や、一つもチョコレートが貰えないままバレンタインが終わって、自暴自棄になってやさぐれてる人に対する心のケアの方法とか」
「……ああ、それはちょっと教えて欲しいかも」
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