応急救護を習得しよう!~その6・胸骨圧迫~
「ぷーうっ、ぷーうっ。よし、二回息入れたぞ、山川!」
「よし、胸もちゃんと膨らんでたな。人工呼吸をしたら、即座に胸骨圧迫に移る。患者の胸の横まで移動しろ」
「おっしゃあ、ドンとこーい!」
「いや、お前がドンとやるんだよ。患者を寝かせている場所が布団の上だとあまり意味がないから、堅い床の上とかでやるように。あと、傾斜がある場所だったら、頭は必ず傾斜の下側にくるように寝かせること」
「ふーん? 頭は上、ってイメージあるけどな」
「心肺蘇生法の一番の目的は、血液を脳に送り込むことだ。頭部を下に持ってくるのは、血が頭に昇りやすくするためだな」
「だったら逆さ吊りにすれば早いんじゃねぇの?」
「なんの拷問だよ。患者の胸の真横に膝をついて、圧迫部位を探す。胸の中央、そう、そのあたりだ。胸は上から垂直に押す必要があるから、お前の両肩が患者の胸骨の真上にくるように」
「おお、けっこう奥まで被さる感じだな」
「圧迫部位に片手を置いて、その上にもう一方の手を重ねる。両肘は真っ直ぐ伸ばす」
「オーケー、準備は完了だ! 胸骨圧迫開始五秒前、四、三、二、一」
「無駄なカウントをしているうちにも患者は弱ってくからな」
「ふざけて済みませんでしたぁ! ええと、三十回で一セットだっけ」
「毎分約百回の速さが目安だ。『アンパ●マンのマーチ』のテンポ、って聞いたことあるな」
「……アン●ンマン?」
「ア●パンマン」
「♪なんのためっに~う~まれて~、な~にをし~て~生きるのか~、わからないま~ま~終わる~、そ~んなの~はイ~ヤだっ!」
「その歌詞、この状況で歌うと胸に迫るものがあるな」
※本日の替え歌元:「アンパンマンのマーチ」やなせたかし作詞/三木たかし作曲(一番と二番の歌詞を一部入れ替えて歌わせています)
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