応急救護を習得しよう!~その3・心肺蘇生法の流れ~

「山川、練習人形回って来たぞ! 最低一人一回は心肺蘇生法を練習しろ、だってさ」

「オーケー、じゃあ俺からやるか。通しで一気にやってみせるから、余計なことは一切言わずに大人しく見てろよ、田中」

「へーい」

「それじゃあ、発見から順に。負傷者発生。周囲に危険無し、大出血無し。意識の確認。『大丈夫ですか?』『大丈夫ですか?』」

「……」

「意識無し。『そこのあなた、一一九番をお願いします。あなた、AEDがあったら持って来てください』。気道確保。呼吸確認できず。心肺停止の状態。人工呼吸を開始」

「……」

「胸骨圧迫開始。一、二、三、四……三十。呼吸戻らず、人工呼吸を開始」

「……」

「AED到着。電源を入れる。水気無し、金属無し、電極パッド貼り付け。『解析を行うので患者から離れてください』。解析完了、ショックが必要。『電気ショックを行います、患者から離れて下さい』」

「……」

「心肺蘇生再開――と。あとはこの繰り返しで、呼吸が戻ったら回復体位にして観察を続ける。こんなところか」

「……」

「次、お前の番だけど、何か質問は?」

「山川みたいなテキスト丸暗記の優等生って、いざ現場に居合わせたら全く役に立たないような気がするんだけど、そこんとこどう思う?」

「……」

「……」

「訊きたいことはそれだけか?」

「うん」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る