応急救護を習得しよう!~その1・始める前に~
※注意※
この「応急救護を習得しよう!」シリーズで扱っている蘇生法は、執筆当時の「JRC蘇生ガイドライン」に基づいており、現在使用されている最新版のガイドラインとは異なる内容も一部含まれています。予めご了承ください。
「おい、山川よ。俺は今、腹の底から足の爪先まで不満でいっぱいだ」
「それだと上半身には不満が詰まってないんじゃないか? それはともかく、何が言いたいんだよ、田中」
「『五・六時間目は体操服に着替えて体育館に集合』なんていう指示だったのに、なんでこの時間は体育じゃないんだよ? 二時間ぶっ続けで球技大会でもやるのかなぁって期待しただろうがよぉぉぉ!」
「勝手に期待しておいて勝手に憤るな。今日の午後は応急救護処置講習会だって、予め伝えられてただろ」
「バスケットボール~! バレーボール~! ドッヂボール~! フットサル~! るるるるる~ぅっ!」
「分かった、もういい。そんなに不満なら教室に戻れ。他に誰もいない自由で開放的な教室ライフを一人寂しく満喫してろ」
「……はい、観念して講習受けます。想像したら切なくなったから」
「初めからそうしろ。それに、応急救護は身につけておくに越したことは無いだろ。特にお前は日頃から予測不能な奇行が目立つし、いつどこで非常事態に遭遇するか分かったもんじゃないからな」
「考えてみりゃそうだなぁ。いつなんどき、悪の組織VSヒーローの激しい戦いに巻き込まれて、敵の卑劣な攻撃から俺を庇って負傷したヒーローを介抱する事態になるか分かんないもんなぁ」
「そこまでの非常事態は想定してない。交通事故の現場に居合わせるとか、そういうのだよ」
「ああ、列車と車があわや大衝突ってところに飛んできたスーパーマンが、颯爽と車を持ち上げて事故を防いだはいいけど、ギックリ腰で立てなくなっちゃうとか」
「どうしていちいち特殊な事態を想定するんだ。ちなみにギックリ腰の応急手当を習う予定は無いからな」
「まぁ、どんな事態だろうと、怪我してる人を見捨てたくはないよな。よし、ここはいっちょ、気合い入れてやるとするか!」
「その意気やよし、だな。せいぜい真面目にやってくれよ」
「おう、任せとけ! しっかり覚えて、今後例え山川が痴情のもつれの果てに包丁でぶっ刺されたり鈍器で殴られたり、藁人形に五寸釘打たれて心臓が止まったりしても、俺がこの手で必ず救命してやるからな!」
「特殊な事態を想定するな」
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