学校の不思議を探ってみよう!~その2~

「落ち着いたか、山川? じゃあ改めて、第一の不思議からな!」

「まさかお前に心理状態を気遣われる日が来るとは……屈辱だ」

「――この高校の北校舎の四階には、音楽室があるよな」

「ああ、あるな。階段を登るのが億劫だよな」

「夏の暑さも過ぎ去り、だんだんと涼しくなってきた秋の放課後になると――」

「秋の放課後? 夏の夜じゃなくて?」

「そう。放課後になると、その音楽室から、ピアノの音や歌声が――」

「誰もいないはずなのに聞こえてくる、か? 七不思議にはよくある話だな」

「いや――聞こえないんだよ」

「……あ?」

「高校最大の行事とも言える学校祭を目前に控え、合唱コンクールのために放課後の音楽室が生徒に解放されているはずなのに、なんの音も聞こえてこないんだよ!」

「……」

「えらいこっちゃだぞ、うちの学校! 生徒のやる気が全く無い!」

「ああ、えらいこっちゃ」

「そんな現状を悲しんだバッハの肖像画は目から血涙を流すらしいし、ベートーヴェンは夜な夜な激しく慟哭するらしいし」

「そっちのほうが不思議なんじゃないのか?」

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