学級日誌にコメントしよう!

「晴のち曇り、日直は弥富・山川、と」

「終わった終わった、授業終わった! やっまかわ~、帰ろうぜ~!」

「まだ日誌が書き終わってないんだ。先に帰れよ、田中」

「そっか、山川って今日、日直だったっけ。いいよ、待ってるから。弥富は?」

「あいつ、『半分は書いておいたから、あとは頼む』とか言って、日誌を俺に押しつけて逃げるように帰ったんだけどな。開いてみたら日付しか記入してないってオチだよ。覚えてやがれ」

「きっと明日が命日だな、弥富」

「五限が英語Rで、六限が日本史/世界史だな。特筆すべきこと無し。ええと、あとは」

「そうだ、山川、コメント欄! 一番下! そこ大事!」

「コメント? ああ、日直の感想欄か。えーと、『日直の弥富が』」

「違う違う違う、先生に告げ口しろって言ってるんじゃないの! ほらぁ、昨日の日直コメント読んでみろって! 一昨日も、その前の日も!」

「昨日って……ん?」

「な!」

「……なんで、学級日誌で日直によるリレー小説が展開されてるんだ?」

「俺が日直の時に面白半分で書いて、最後を『続く』で締めたら、次の土宮つちみや以降の日直が続けてくれたから」

「ノリがいいな、土宮以降の連中。っていうか、お前が主人公?」

「書き始めたのが俺だからな。ちなみに山川も登場してるぞ」

「なんで、幽閉された俺をお前が助けに行こうとするところで終わっちゃったんだよ、前回」

「山川、ちゃんと続けろよ? このままだと、『ヤマカワ君』が悪の組織に人体改造されちゃうぞ?」

「『ご愛読ありがとうございました。タナカ先生の次回作にご期待ください。』」

「無情に打ち切らないで山川ぁぁぁ!」

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