着替えは素早く終わらせよう!

「あー、楽しかった! 俺、体育と昼飯と部活のためだけに学校に来てるよ!」

「情けない事実を胸張って公言するなよ、田中。次は生物だから、さっさと着替えて移動しようぜ」

「おー、そうだな……って、クサッ! 更衣室の中、めちゃくちゃ臭ぇっ!」

「うわ、本当だ。誰かが香水でも使ったのか?」

「なんだよ、男が香水なんか使うなよな」

「それは偏見だろ。これは確かに過剰だが、汗の匂いよりマシって意見もあるだろうし」

「俺はいつでも気にせず男臭さ全開だぞ。世界に対して堂々と生きてるからな!」

「格好いいこと言ったつもりか? そんなだからお前はモテないんだよ」

「!」

「それにしても、これは何の匂いだろうな。果物か?」

「スイカとか?」

「ほぼ無臭だと思うんだが。しかも野菜だし」

「本物の果物は、もっと良い匂いだと思うんだけどな。自然界の香りを再現するのは無理があるからさ、もっと人工的な良い匂いを香水にするべきだと思うんだよ」

「珍しく『らしい』ことを言ってるが、例えば?」

「焦げた醤油の匂いとか」

「人工的ではある」

「炊きたてのご飯の匂いとか」

「良い匂いではある」

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