登校中に捨て猫を拾わないようにしよう!
「あえて聞くが、田中。それはなんだ」
「我が輩は猫である。名前はまだない。何処で生まれたのかとんと見当がつかない。ただ通学路のアスファルトの上で、一匹にゃーと鳴いていた」
「お前にしては文学的な説明をどうも。要するに、登校中に見つけた捨て猫を拾ってきちまったのか」
「だって可哀想だろ! まだこんなに小さいのに、汚い段ボールに押し込められて、道行く人には見向きもしてもらえなくてさぁ」
「可哀想は可哀想だが、だからって学校に連れてくるのはNGだろ」
「俺の理想の女の子はなぁ! 雨に濡れている捨て犬または捨て猫を、見捨てることもできずに連れて帰るような優しい子なんだよ!」
「その女の子の理想のタイプが、『救いようがないくらいの馬鹿な男』だったらいいんだけどな」
「なぁなぁ山川、今から校内でこいつの里親探ししようぜ! 大勢に呼びかければ、誰か貰ってくれるかもしれないし」
「そう上手くいくか?」
「『貰ってくれたら、もれなく田中君が友達になります』って触れ込みで」
「正直、願い下げだ」
「『山川君があなたの子猫ちゃんになる、もしくは、あなたを子猫ちゃん扱いしてくれます』っていうのもつけるから」
「お前がどこか他のクラスに貰われてくれればいいのに」
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