下駄箱の中をそっと覗いてみよう!
「田中、さっさと帰ろうぜ。なんで下駄箱開けたまま固まってるんだ」
「なあ、山川。下駄箱にラブレターが入ってたこと、あるか?」
「あ? ああ、まあ、二、三日に一度くらいは」
「そうか山川なんか大嫌いだヤギさんにお手紙全部食われちまえ……ってのはともかく、実は今朝、俺の下駄箱に手紙が入ってたんだ。差出人は女の子の名前で、ハートのシールが貼ってあった」
「なんだと?」
「そして『山川君に渡して下さい♡』とメモが付けてあった」
「……そうか。で、その手紙、どうしたんだ? まさか捨てたんじゃないだろうな」
「いや。落とし物とみなして、メモだけ外し、素知らぬ顔でついさっき職員室に届け出た」
「……なん、だ、と?」
「そろそろ持ち主確認のために開封される頃だろうなぁ。結果、先生たちの間で微笑ましく話のネタにされちゃうんだろうなぁ。あるいは一部の先生たちからは、山川は僻まれ恨まれ面白がられ、ひょっとしたら質の悪い先生から直接冷やかされちゃうかもなぁ。だがそんな事態を阻むとなると、先生たちに『落とし物のラブレターが届いてませんか? 俺宛なんです』と、非常に恥ずかしい申し出をしなくちゃならないなぁ」
「……!」
「さあ、どうする山川? 無視を決め込むか! はたまた、今すぐ手紙を取りに行くか!」
「……覚えてやがれぇぇぇっ!」
「おー、足が速いな山川~♪」
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