田中君と山川君(弟)~恭輔君と翔悟君~

「恭輔、きょん!」

「どうした、翔悟?」

「今日、きょんの家に遊びに行ってもいい? 一緒に宿題やろうよ」

「うん、いいよ。数学教えてくれるか? 一、二問分からなくってさ」

「うん、いいよ。俺にはどこが宿題なのかを教えてくれる?」

「どうしてお前は勉強できるくせに……」

「ケン兄は勉強だったら教えてくれるけど、宿題の範囲までは教えてくれないし」

「そりゃそうだろ。でもいいなぁ、翔悟は。健悟兄さんに教えて貰えるもんな」

「何だよ、きょんだってタク兄さんがいるでしょ、楽しいでしょ」

「楽しくないよ。馬鹿だよ」

「あー、またタク兄さんを馬鹿にする! ケン兄なんて、意地悪で冷血で腹黒で、ちょっとふざけただけでもすぐに怒るんだよ」

「兄貴はひたすら馬鹿なんだぞ。他に言うことがないほど馬鹿なんだぞ」

「もしもーし、タク兄さ~ん! きょんがまたタク兄さんを馬鹿呼ばわりしてるよ~!」

「こんなことで電話するなよ、人の兄貴に!」

「……きょん」

「? 何?」

「今まさにケン兄にも馬鹿にされてるって、タク兄さんに涙ながらに訴え返された」

「それは間違いなく、兄貴が馬鹿をしでかしたから馬鹿にされたんだと思う」

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