図書室へ行こう!

「よっ、図書委員の山川健悟君! 真面目に放課後のカウンター当番やってるか~い?」

「よう、説明口調の田中卓也君。今ちょっと忙しいから、day before yesterdayにでも来てくれるか」

「……『二度と来るな』が回りくどすぎるだろ山川! 何だよ何それ、図書委員様には、勤勉な生徒を無情に追い出す権限でもあるってのか?」

「そこまでの権限はないが、図書室にまともな用があるとは思えない上、高確率で他の勤勉な生徒の邪魔をするだろう危険人物を、強制的に閉め出して出禁にする権限なら与えられていると自己解釈してる」

「うぉぉい誰かぁぁぁ、『お前の思想の方が危険だよ』って、びしっと教えてあげてぇぇぇ!」

「五月蠅い、本当に閉め出すぞ。それで結局、やっぱり用はないのか」

「あるよありますよ、俺だって本の一冊や二冊くらい探しに来るよ」

「だったら俺にちょっかいかけてないで、さっさと目当ての本を探せばいいだろ」

「いや、お察しの通り図書室なんて滅多に来ないから、どこにどの本があるかさっぱりなんだよ。山川、ぱぱっと探してくれねぇ?」

「ったく、世話が焼けるな。どんな本を探してるんだ?」

「ええと、先月買ったゲームの攻略本と、こないだ弥富の家で読んだマンガの続きと」

「高校の図書室にあるわけないだろ」

「仲楯から借りたまま失くした世界史の教科書と」

「今すぐ謝って弁償して来い」

「実用書、『身近にいる腹黒い人をギャフンと言わせる100の方法』」

「……実在するならちょっと気になる」

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