第14話 私は学んでいる
翌日から、楽しい(?)学園生活が始まった。
小さい私にみんなが気を遣ってくれている。倫太郎君の爆弾発言が原因ではないと思いたいけれど。
授業はおもしろい。英語に近いイミグランド語やロシア語に近いロザリア語の学習もある。イミグランド語は何とかなるけれど、ロザリア語はどうも難しい。
私は学生の頃ドイツ語をとっていたけれど・・・それに近い言語(ジャマン語)もあるみたいだけれど、高学園では学習しないそうだ。
イミグランド語を話す国はこの世界で多いとのことだ。英語っぽいのかな?とりあえず、イミグランド語を覚えよう。
歴史については年度末から入学までの特訓で、何とかついて行けるし。よく分からないのは呪術だけだ。
とりあえず、呪文を唱えることによって魔法のような効果が得られることは理解できたけれど。使える人は少ないらしい。
魔法自体おとぎ話の国から来た60歳のおばちゃんにとっては、あまりにも非現実的で・・・。
半信半疑で受けるせいか、成果がなかなか上がらない。適性検査についてはお約束。すべて属性があり、それも結構な力がありそうだという。
属性って?
休み中の講義の中で初めて聞いたとき、倫太郎君に尋ねたら、
「全ての人は力の大きさにかかわらず、人・星・地・天・・・それから中の何かしら中。その中にある何かしらの力を持つんだよ。」
と言った。
この世界の人たちはどんな人でも、多かれ少なかれもっているという。
人は薬学や癒やしの力を持ち,
星は占い・予知・予言などの力を
地は実りの力を
天は滅多に現れない特性で、すべてを凌駕する力を持つらしい。よく分からないけれど。
もう一つ・・それって名前はないんだって。なんだそれ・・変なの。もう一つって呼ばれているのはどれにも属さない力らしい。たくさんあるんだって。なんでちゃんと分けてあげないのかな。もう少し細かく分けてあげればいいのに。
倫太郎君は全ての属性を持つけれど、特に強い天の属性を持ち、さらに星を使うことを得意とするって。だから「倫太郎君が今代では最も優れていると言われています。」って発言に繋がるんだねって・・あのとき感心したっけ。
それなのに、入学してからの適性検査で、私にも全ての力と、強い天の力があるって。倫太郎君は当然だって言っていたけれど。
呪術の学習は、属性つまり力の種類ごとにいくつかのグループに分かれる。
この学年の天の属性は私と倫太郎君だけ。別の言い方をすると天の属性の人は世界中で、10年に一人か二人・・現れるか現れないかと言うことらしい。それが一つの場所に二人もなんて驚くべきことらしい。世界でも類をみないとも聞いた。なので、私の力は当面は秘密。
小さい子だから、特別レッスンを受けている。と言うことにしてある。
天の力の中身については、力が覚醒してから教えるって。それって変じゃないかと私は思う。どんなものかしっかり教えてもらわないと分からないから。でも、人によって少しずつ違うとかで・・・とにかく覚醒とやらしなければ、具体的なことは何一つ教えてもらえないらしい。これは教育としてはいかがなものか・・・
倫太郎君はすでに力を使いこなせているそうだけれど・・私はあの最初の時、蝶が目の前を横切るのを見ただけだ。こんなことで大丈夫なんだろうか。
二人のための先生はなんとおじいさんだった。
月曜日の午後はおじいさんと私たちの時間
なかなか力を具現できない私に、焦ることはないよと二人が言う。
「まだ6歳じゃないか。倫太郎は10歳の時に具現したんだよ。」
あの死にかけた日を境に発現したという。
「発現したから死にかけたみたいなんだ」
それは怖いな・・・
火曜日には体育がある。これがきつい。
6歳の私が、15~6歳のお姉様方と一緒のことが出来るわけがない。もちろん60歳でも無理だけど。
さらに、あの3人のお姉様方の当たりがきついこときついこと。わざと体当たりしてきて吹っ飛ばすなんてことは日常茶飯事だ。何しろ最初は、ボールを持つ、バスケットボールに近いゲームの練習だったからなおさらだ。
最近では来たなと思うと素早くよけたり、周りのお姉様方がかばってくれたりしてくれる。
実は、倫子ちゃんとか、リンとか呼んでかわいがってくれる人も多い。
広川さんって言う人と、英田さん、山名さんの3人が特によく声を掛けてくれる。
ありがたいすてきなお姉様達だ。お姉様・・・私から見れば、孫と言ってもいいのかな・・・
でも・・・ボールはだめだ。
私の手には、バスケットもどきのボールが大きすぎる。
チームプレーどころか足手まといだ。親切なお姉様方にだって踏まれそうだ。
ようやくボール運動の期間が終わる頃、制服が夏服に替わった。
きゃははうふふ・・・っていう青春をもう一度味わえているかと言ったら否。
何しろ見た目6歳。どうあがいても6歳。
単なる倫太郎君のお荷物にしか見えないのが、ちょっと悔しい。とはいえ、今までの姿だったら中にも入れないわ・・・60才の教師姿を思い出してげんなりする・・・
ロリコン発言の同級生、名前が冬彌君だったっけ。彼は順調に青春しているらしく、自分のこととロリコンネタを倫太郎君に振るために、時々絡んできては撃退されている。
そんなのを見ていると、
「うん。少年達がんばれよ。」
って内心応援してしまう。
普段の授業も順調に進み、テストの期間を迎える。
体育と呪術以外は大丈夫そうだ。
まじめに試験勉強もしてみた。
テストの後、順位が張り出された。
200人中、倫太郎君はトップ。さすが。
私は・・20位。うん。仕方ないよね。60年間の知識が役に立たない科目もあるんだから。でもちょっと悔しい。勉強するぞ。
家に送られてきた成績表を見たら、呪術と体育、ロザリア語以外はほぼ満点に近かった。我ながらびっくり。
体育・・・赤点に近い・・・
でも・・次は器械運動だ。これなら何とかなるかも。
全科目満点の倫太郎君にロザリア語の先生をしてもらう。
何で母音が10個もあるの訳分からんわ。とにかく覚えなきゃね。60の硬い脳みそ・・・でなく、6歳の柔らかい脳みそだから。
呪術もがんばろう。
・・決意を新たにノートに向かう・・・ん?・・なんだか大切なことを忘れているような気がしてきた・・
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます