第237話 18歳以下、GO BACK(エロ注意)
薄々とは気が付いていたが、≪
遠くにある物をよりはっきりと見ることができるし、鼻も利く。
何かを食べても味の詳細がはっきりして、美味しく感じるし、木剣を握った時などはその木剣の重心、その手触りなどについて今まで気が付かなかったことが多く発見できて、あたかも初めて木剣を握ったかのようにとても新鮮に感じられたのだ。
とにかく、以前は感じ得なかった多くのものが感じ取れている。そういう感じだ。
そして今、聴覚の強化を実感している。
「シーム様、私、恥ずかしいです」
「恥ずかしがることなどないぞ。男と女はこういうことをするように神に作られておるのだ。さあ、広げて、善く見せなさい」
ロランは寝床に入り、何とか寝ようと努力したが、喜色満面の笑みを浮かべて出て行ったシーム先生に対して、極度に意識が集中してしまい、拾いたくもない会話を拾ってしまっていたのだ。
距離にしてみたら、このあばら家と村長の家は百メートルほどしか離れておらず、隣家といって良い。
村長宅に招かれたシーム先生は、会話の内容から推察すると、村長の娘を傍らに抱きながら、振舞われた酒とご馳走を楽しんでいたようだが、そのうち、別室に移り、何やらイチャイチャし始めたのである。
「ねえ、シーム様はそんなにお美しい顔立ちをしていらっしゃるのに、どうしてお爺ちゃんのような話され方をなさるのですか?」
「ふむ、気になるか?」
「いえ、あまりにも凛々しく素敵なので近寄りがたく感じておりましたが、その話し方だと面白いし、とても親しみがわいて近しく感じられます」
「ふふ、そうであろう。これはもう口癖なのだが、意外と王都の御婦人方にも評判が良くてのう」
「あんッ、いけません。そんなところ……」
娘の吐息と衣服のこすれ合うような音が聞こえ、やがて押し殺した喘ぎ声のようなものが聞こえ始まった。
娘は最初、「いけません」とか「ダメッ」とか拒む様な言葉を発していたのだが次第に大人しくなった。
くそっ、駄目だ。脳が興奮して眠れない。
村長宅方向の音を拾うまいとしても、俺の聴覚がその辺りの音だけフォーカスして聞いてしまう。
我ながら、とんでもない集中力と聴力だ。
「力を抜くんじゃ。ゆっくり、ゆっくりと。ファム、ゆっくりと力を抜くんじゃ。ファムのここはもうこんなに濡れそぼっておる。大丈夫じゃ」
村長の娘、ファムっていう名前なのか。
それにしても、このエロ爺、王都に居づらくなった原因が女性問題だったのをまったく反省してないな。
「いやっ、恥ずかしい。恥ずかしいです、シーム様」
「大丈夫じゃ、任せておれ」
ファムの息を殺すような、何かを我慢するような声がしばらく続き、そのうちに甘ったるいような鼻から漏れ出る声に変わっていく。
ロランは、全身が熱くなり、自分が異常に興奮していることを自覚していた。
高橋文明時代から数えて四十五年。
童貞であった自分にとっては正に、未知なる世界である。
男女がどうやってセックスするのか、その時、二つの性器がどんな感じに納まるのかなど本の知識しかない。
中途半端な知識と妄想が入り混じり脳内を埋め尽くしていく。
隣で
「シーム様、
次の瞬間、ファムが切羽詰まったような叫び声を上げた。
娘の荒々しい呼吸音だけがいるの
良かった。どうやら事を終えたようだ。
これで静かに眠れる。
ロランは寝返りをうち、再び眠る態勢に入った。
「やだ、姉さん。どうして来たの?」
ん?誰か来たようだ。
「ファム、生娘のあなただけじゃ、シーム様を心から満足させることは出来ないでしょう。私がここからは相手をするわ」
「そんな、姉さんにはモラさんという立派な旦那さんがいるでしょう。駄目よ、姉さんは帰って!」
「あなた、シーム様を独り占めにする気? 旦那なら夜の見回りに行ってていないわ。あの人にチクったら、妹のあなたでも許さないんだから!」
今度は姉妹喧嘩が始まったようだ。
しかも、シーム先生を取り合うという
「はっ、はっ、喧嘩はおよしなさい。姉妹は仲良く。ファム、お前さんは少し疲れておろう。そこで休んでおれ」
「シーム様、そのお姿を遠くから拝見して、一目で心奪われてしまいました。うちの旦那なんて比べ物にならない、素敵な殿方。どうか、私にもお情けを……」
今度は姉と始まってしまった。
どうなってるんだ。乱れすぎているぞ、農村モラル。
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