第111話 小説連載の危機
狂暴な魔物の体の中から出てきた女の子。
見た目は目鼻立ちも整っていて、とても愛らしく、まるで人形のようだった。
でも常識で考えれば、魔物の中から出てきた時点で何かやばそうな感じもするし、この出自を聞いたら、普通の人は育てようなどとは思わないかもしれない。
魔物の仲間かもしれないし、本当の親の素性も不明だ。
そう言う意味ではシーム先生はベアトリスの養親としては悪くないのかもしれない。
そう思った時期が私にもありました。
朝になり、目を覚ますとシーム先生はもうすでに起きていた。
シーム先生はこちらに背を向けベアトリスと何かしていた。
「もそっと下の方を……ここを舐めるんじゃ。裏側のところを舌で突くようにして。おお、おお、上手じゃ。ベアトリスは頭の良い子じゃな。手で少し
じじい。何を教えとるんじゃあ。
ここからだとじじいの大きな背中の向こうからベアトリスの足が少し見えるだけだ。
ベアトリスはじじいの方に頭を向け、何かしている。
「おお、出た、出た。どうじゃうまいじゃろう。一滴残らず吸い尽くすんじゃ」
じじいの嬉しそうな声が聞こえる。
駄目だ。これは完全に駄目なやつだ。
このままだと小説連載の危機だ。
じじいを〇るしかない。
ロランは枕もとの小剣を手に取ると、じじいの後頭部に向けて真直ぐ振り下ろした。
「ほっ、ほっ、甘い甘い。殺気がだだ洩れじゃ」
じじいは振り返ることもなく左手人差し指と中指でヒョイっと挟み、ロランの渾身の一撃を止めてしまった。
「なかなかの速度じゃったが、やはり軽い。それに気配を抑える術を学ばねばならん。優れた剣士は、速く、強く、そして静かなものじゃ」
シーム先生はニヤリと笑うと、そのまま手首の力だけでロランを押し返す。
「あれ?」
見るとベアトリスはシーム先生が右手に持っている桃色のまだら模様が傘にある白いキノコをしゃぶっていた。
「シーム先生、そのキノコは?」
「おおこれか。このキノコは
シーム先生は愛しいものを見る眼差しで、ベアトリスの頭を撫でた。
ああ、勘違いした自分が恥ずかしい。
汚れきっていたのはシーム先生ではなく、俺の脳みそだった。
砕けよ、俺の頭蓋骨。
本当に穴があったら入りたい。
ロランは鞘付きの小剣で何度も頭を打った。
『総獲得PVが100,000を突破しました。スキル≪カク・ヨム≫の熟練度が上がり、FからEに上がりました』
ん?
熟練度アップだって?
目の前に半透明のメッセージボードが現れる。
頭打ち過ぎて幻覚見てるわけではないよね。
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