クリスマス

バブみ道日丿宮組

お題:今年のクリスマス 制限時間:15分

クリスマス

 空から雪が舞い落ちる。昔は綺麗で大いに人で賑わった都会も、今じゃもう誰も存在しない。

 歩いてる人、車、電車、全てがない。壊れた瓦礫が唯一あるばかりで、先進国と呼ばれるパーツは何一つとして生き残ってない。

「……さぶ」

 風が吹き込んで、雪を室内へと運んでくる。割れた窓の応急処置が甘かったかと悔やんでも今更直す気になれなかった。どうせ暖房できないのであれば多少変わったところで改善なんて気やしない。

 ラジオから聞こえてくる声ではあと3日間は雪が続くとのこと。

 今年はホワイトクリスマスということになる。

 あぁ、去年の今頃なら嬉しい限りだったかもしれない。

「……」

 割れた窓から下を覗くと、とてもじゃないけれど拠点を別にできる感じじゃない。そもそも道がどこで壊れた瓦礫がどれなのかが積もり過ぎてわからない。

 こんな事態になるなら喧嘩なんかしないで友だちについてくべきだったかもしれない。もう会えるかもわからないことになるかもしれないのに……後悔はもうしないって決めたのに、雪を見るとダメになってくる。

「……お母さん」

 去年の冬ーー未確認飛行物体が落とした兵器が突如として地球を襲った。都市と呼べる都市を破壊して破壊して人もたくさん死んだ。ライフラインはほぼ壊滅的までになった。

 私はお母さんが守ってくれた。

 守ってくれたというのかな。私がたまたま前を歩いててたまたまお母さんが壁になっただけ。

「……」

 爆風と一緒に倒れ込んだ私とお母さん。上にかぶさったお母さんをどかすと、顔は笑ってたけど心では本当はそうは思ってなかったに違いない。

 だって、私はいつも反抗期態度でしか関わろうとしないから。

 私を壁にするくらいの憎しみは抱いていそうとしか感じない。

 バカみたいだ。

 同じ理由で友だちとも喧嘩した。

 何を犠牲にするか、何を残してくかを口論して、私は場所を選んだ。

 産まれた土地を離れるのが嫌だった。

 友だちは壊れた場所よりも人が多い場所に移動しようといった。そっちのほうが情報がよく入るし、補給物資だって増えると。

「……」

 私は極端過ぎるまでにひねくれてる。

 人が多ければ多いほど災いも多くなるし、また未確認飛行物体が襲ってくる可能性が高くなる。

 だったら、密かにいるかいないかで暮らした方が安全と曲がった考えを抱いた。

 みんなでいれば大丈夫。

 そうかもしれない。

 みんなが助けてくれる

 そうであって欲しい。


 けれど、私は人を信じられなかった。


「あぁ、白いウサギがみえてきたな」

 

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クリスマス バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri

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