第433話 箱と、停止庫と、夢落ち
収納魔法って亜空間に入れるけど。
冷蔵庫みたいに引き出しに時間停止の機能を付けた箱を作れないかな。
停止庫だな。
まず時間停止が難しい。
重力で時間は歪められるけど、そんな莫大な魔力は用意できないし、時間が止まるほどの重力はブラックホールも超えるだろう。
だがね。
ここは俺の推測では電脳世界だ。
#include <stdio.h>
#include <conio.h>
extern MAGIC *time_stop(int space_size_cm);
extern int mclose(MAGIC *mp);
void main(void)
{
MAGIC *mp; /*魔法構造体*/
mp=time_stop(100); /*1メートルの空間の時間を停める*/
while(1){ /*無限ループ*/
if(kbhit()) break; /*何か入力されたら止める*/
}
mclose(mp); /*魔法終わり*/
}
停止庫ができた。
どういう状態が時間が止まっているのか調べた。
どういう理屈か分からないと不気味だからね。
結果、入れた物を示すファイルのタイムスタンプが止まっているだけだった。
だよね。
電脳世界で時間停止するならタイムスタンプしかないよね。
停止庫は魔力が切れれば解ける。
魔道具に作った。
その時、マイラが不治の病に。
俺はマイラに時間停止庫を使うことにした。
透明な箱の中で瞬きもせずに人形のように眠るマイラ。
魔道具の魔力が切れるまでに治療法を見つけるのだ。
俺はありとあらゆる場所を探した。
文献もそうだが、治療薬も、薬の素材も探した。
10年の月日が経ち、ついにマイラの時間停止が解ける日が来た。
治療方法は見つからなかった。
魔道具の魔力が切れ、マイラが瞬きした。
そして吐血。
俺は顔に血が掛った。
そして目を覚ました。
俺の顔はマイラのよだれまみれになっていた。
ふう、犬じゃないんだから。
起きている間は雌豹だけどな。
よだれはちょっと。
だけど、よだれがなんとなく愛おしい。
生きている証だからな。
ベッド脇のタオルを手に取って顔を拭った。
時間停止庫は作らない。
不吉な感じがしたからだ。
フラグをわざと立てることもない。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます