異世界で俺だけがプログラマー~転生して蘇った前世の知識は魔王級。家族には捨てられたけど、世界法則には気に入られた気がする。帰って来てくれと言われても、もう遅い。プログラム的呪文で最強無双~
第425話 ウルフ討伐と、地雷依頼と、ランクアップポイント
第425話 ウルフ討伐と、地雷依頼と、ランクアップポイント
今日の討伐はウルフ。
ただのウルフ。
大きさも中型犬くらい。
まあ、Fランク依頼だからな。
行ってみて驚いた。
100頭はいる群れだったからだ。
これがFランク依頼だなんてどうかしている。
毛皮は汚い灰色で、まるでネズミだ。
俺はウォーターカッターを放つ。
ウルフは両断されていく。
弱いな。
これで毛皮が高く売れたら言う事がないんだけど。
ウルフはモンスターではないので死骸は消えないが、くすんだ汚い色の毛皮は人気がない。
討伐は簡単に終わった。
レクティが口笛を吹くと、スラムの子供達の集団が現れウルフの死骸から耳を切り取った。
そして死骸の皮を剥ぎ、嬉々として肉を焼く。
俺も肉は食ってみたが、筋が多くて、油も乗ってない不味い肉だった。
「105頭か。一頭銅貨5枚だから、銀貨5枚ちょっとだな」
俺はそう言って耳を袋に入れた。
「仕方ないわ。Fランクの依頼だから」
マイラの慰めるような言葉。
「スラムの子供達の良いお駄賃になりましてよ」
レクティはスラムの子供達をよく部下にしている。
さすがだな。
「歯ごたえのない敵だった」
リニアは暴れ足りなそうだった。
「病気とかもってないのでしょうか」
セレンの心配はもっともだ。
回復魔法を覚えないと。
「スラムの子供達が食べているから平気だろう。俺も食ったけど今のところ腹は大丈夫だ」
うん、腹が痛いということはない。
火を通したから、ウィルスの類はたぶん大丈夫。
「このぐらいで腹を壊していたら、スラムでは暮らしていけないわよ」
「わたくし狼の肉は食したことがありませんの。どのようなお味でしたか?」
「筋が多い、脂肪分の少ない肉だな」
「ダイエットに良さそうですね」
セレンは太った患者に食わせようとしているのか。
「狼は犬と似ているから、食ったけど少し罪悪感が」
そうなんだよな。
ほとんど犬だからな。
もっともウルフが犬と近縁種だとは限らないけどな。
「私は食べる物がこれしかなくても狼の肉は食べません。サイリスを思い出しますので」
ああ、リニアはそうだろうな。
冒険者ギルドに帰る。
「ウルフの討伐をやってきた」
俺は受け付けのカウンターに袋を置いた。
「では確認します。105匹分確認しました。銀貨5枚と、大銅貨2枚と、銅貨5枚になります。ところで講習を受けていないみたいですが」
「必要ないからな」
「この数だと苦戦されたのではないですか。そうならないためにも講習は必要です」
「今のところ必要は感じないな」
「後悔しますよ」
えっ、脅してくるの。
俺と同じぐらいの年齢の駆け出し冒険者が来て俺に声を掛けた。
「なぁ、ウルフの大軍を退治したんだってどうやったんだ」
「魔法を使ってだな」
「ちっ、魔法使い様かよ。どうりで講習を受けないわけだ」
「講習受けるとどうなるんだ」
「例えば今回のウルフの依頼だと、依頼を受ける時に受付嬢が止めてくれる」
くっ、100頭いたのをギルドは把握してたのか。
地雷依頼を作り出して、講習を受けてない奴のトラップにするつもりかな。
だとしたらせこいというか、なんというか。
「情報を貰うためには定期的に講習を受けないといけないわけか」
「ああ、そうだ。それがずっと続く」
搾取の構造だな。
前世で割のいい仕事をうたって人を集め、教材を買わせる手口があったな。
あれと何か似てる。
「ショバ代の話と同じね」
「だな」
「理不尽なお金は払う必要はありませんわ。ただ情報に価値があるのなら、やぶさかではないですけど」
ウルフ100頭ぐらいならなんとかなる。
いましばらくはこのままでいこうか。
「ギルドの規約を読んだけど、そろそろランクアップできるんじゃないの」
セレンがそんなことを言った。
「ランクアップまでのポイントはあといくつ」
受付で尋ねる。
「5人ともランクアップのポイントは足りてます」
おいおい、そういう情報も含まれるのかよ。
くそっ、普通の冒険者なら講習会を受けるというのだろうな。
そんなことは知るものか。
「分かった。ランクアップの手続きをしてくれ」
「はい、試験官のスケジュールを確認しておきます」
「いつまでにだ」
「ちっ、三日後です」
いま舌打ちしたぞ。
聞かなければ教えないつもりだったな。
いや、スケジュールの確認すらしなかったかも。
これは大変だな。
だが、負けるものか。
ここまでくれば意地だ。
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