第424話 スライム討伐と、駆除薬と、粘液
今日はスライムの討伐だ。
スライムが大発生した森は悲惨な感じだ。
木の幹もでろでろに溶けていた。
草もみんな溶かされて糸を引いている。
スライムの粘液を踏んだら足から煙が上がって激痛が体を駆け回った。
くそっ。
飛び退いて靴を脱ぐ。
靴底が溶かされている。
リニアが手を半透明にさせた。
そして粘液に触れる。
スライム同士は溶かされないみたいだ。
別世界のスライムだが、酸に耐性があるってことは共通なのだろう。
靴を応急処置して、さてどうする。
火かな。
「【われは内包する、魔法規則。かの者は目の前にある地面。かの者をレベル5火魔法に受け渡し、魔法情報を受け取れ。魔法情報にあるもので焼き払え。火炎放射】」
焼いてみた。
上がる白煙。
目が痛い。
「毒ガスですわ」
レクティが警告を発した。
俺達はいったん下がった。
くそっ、火も駄目か。
ウォーターカッターかな。
スライム本体じゃなくて、粘液にこんなに苦戦するとは。
とりあえず、粘液を避けて進もう。
いたスライムだ。
樹を消化中。
水色の体をして、だいたい1メートルはある。
そんなのがあちらこちらに。
「くらえ、【
水の刃がスライムに向かって飛ぶ。
スライムは両断され、そして増えた。
くそっ、切ると分裂するのかよ。
どうやったら倒せるんだ。
ここは仕切り直しだな。
しかし、なんでこんな依頼がFランクなんだ。
たしかに依頼金は高いけども。
ギルドに帰って聞いてみる事にした。
「スライム討伐の依頼を受けたんだか倒せない」
「それなら、スライム駆除薬を使わないと。大銀貨1枚です」
「依頼金が大銀貨1枚と大銅貨1枚ってことは大銅貨1枚の儲けってことか」
まあ毒を掛ければ死ぬのならそんなに難しくない依頼なのかもな。
ちょんちょんと背中を俺と同じぐらいの少年に突かれた。
「何か」
「正規品じゃないスライム駆除薬ならあるけど。銀貨8枚だよ」
こういう時に非正規品買うと大抵痛い目を見る。
「俺は正規品を買うよ」
「損したのも分からないなんて、可哀想な奴。じゃあね」
スライム駆除薬を手に森に戻る。
手分けして駆除薬を掛けたが、スライムの数が多くて足りない。
赤字になるなんてなんて依頼だ。
地雷依頼を踏んだということか。
何度か往復して依頼は終わった。
スライムの粘液を採取してカリンに持って行く。
ガラス瓶は溶けないらしい。
「スライムの粘液は薬の材料になるけど1瓶で銅貨3枚ね」
「くそっ、地雷依頼だな」
「スライムの駆除の依頼をキャンセルしなかったのね。それは正しい判断だわ。あれの違約金は金貨10枚だから。キャンセルしてたら奴隷落ちよ」
「奴隷を作るための依頼か。くそだな。ギルドは腐ってる」
「ええ、あの駆除薬のレシピはギルドの秘匿技術だけど、1瓶で銀貨1枚ぐらいで作れると聞いているわ。他の領ではその値段で売られているようね」
「非正規品があると言われたけど」
「それも罠。全く効かないわ」
「罠が多い依頼だ」
「だからスライム討伐は誰も受けない」
こうなったら、粘液採取を頑張るか。
幸いリニアは手をスライムに変えられるから、安全に採取できる。
森一つ分採取したら元が取れるだろう。
スライム粘液の値段が下がるかもだけど。
念動魔法も使って採取した。
「よっこらせと」
「絶対に割らないで」
「大量だな。こりゃ他の街に持って行って売らないとな」
カリンの工房は大忙しだ。
スライム粘液はこのままでは出荷できない。
ゴミとか不純物が混ざっているからだ。
ガラス砂を敷き詰めたろ過機で漉されていく。
そういうことをするんだな。
魔法でもできそうだが、カリン達の仕事を取ってもしょうがない。
とにかく粘液の採取は終わった。
結果、何とか赤字にならないで済んだ。
余ったスライムの粘液は無事出荷されたようだ。
カリンがそう言っていた。
スライムが発生すると、スライムダンジョンと呼ばれるそうだ。
でもほとんどは自然消滅する。
雨が長く降らないと干からびて死ぬ。
今回のは大雨が降って、大繁殖したようだ。
こういうことはたまにあるらしい。
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