第419話 人身売買組織と、年齢操作と、壊滅作戦

 そろそろ、人身売買組織を潰さないといけない。


「レクティ、報告を」

「スラムの子供で組織された諜報網から得た情報を整理すると、拠点は街の中にありますわ」

「普通こういうのは逆なのにな。スラムに拠点がある場合が多い」

「領主と冒険者ギルドのマスターの関与が疑われるます」

「冒険者ギルドのマスターは領主の犬というわけか。じゃあ人身売買はどちらかと言えば冒険者ギルドマスターなのか」

「さらに下みたいです。チンピラ冒険者が人さらい組織を率いているようです」


 道理で俺達を捕まえた奴らが凄腕だったわけだ。

 元冒険者だったとは。

 馬車を操っていた奴が下っ端で運が良かったのだな。


「こういうのはね。拠点に乗り込むと普通は負けパターン。圧倒的な力でも無い限りね」


 マイラの言葉はもっともだ。


「私達もかなり強くなったよ。ほらこの通り」


 リニアが鋭い爪を生やす。

 うーん、俺達に全盛期の力があれば、セレンのメテオ魔法だけで片が付いただろう。


「ウォータカッターだけでも。チンピラは突破できる。元冒険者がどれだけいて、どのくらいの実力か分からないと作戦の立てようがない」

「それは判明しております」

「こういうのはね。相手の弱点を狙うの。元冒険者にも家族はいるでしょ。それを人質に取るのよ」


 マイラの作戦は堅実だが、外聞が悪い。


「それって悪党ですね」


 セレンが嫌そうに言った。


「仮面被ってればいいさ」


 とリニア。


「馬鹿正直に素顔を晒す必要はありませんね」


 レクティがそう言った。


 よし、年齢を誤魔化そう。

 年齢操作のプログラムだ。

 まずは今が何年か知る。


import datetime

print(datetime.datetime.now())


 これを実行したら、『2124-01-04 10:23:18.934519』

 となった。


import os

import datetime


stime = datetime.datetime.strptime("2134-01-01 00:00:00", "%Y-%m-%d %H:%M:%S").timestamp()


while 1:

  os.utime("カニキクカ.body", (stime, stime))


 これで体年齢が23歳だ。

 マイラ達はもう大人の体つきだから問題ない。

 俺だけが子供だと目立つからな。


 よし、これで良いだろう。

 人さらい組織の人間の家族を誘拐した。

 そして、組織の人間をゴブリンの巣穴に誘い込む。

 で、毒を送り込んで魔法で蓋をした。


 搦め手だが、今は仕方ない。

 人さらい組織に捕まっている人たちを救出。

 とりあえずのところはこれで良いと思う。


「派手にやったな」


 渋い顔のスラムの顔役。


「ええと別に困らないだろう」

「俺としてはチンピラを叩きのめして、捕まってたスラムの人間だけを解放してくれたらよかったんだ」

「元から絶たなきゃ駄目って言葉もある」

「そうなると領主の首を取るってことだ」

「まあね。その覚悟はある」

「とんだ奴をスラムに入れちまったな。何かあるとは思ったが、こんな物騒な奴だとは思いもしなかったぜ」

「スラムの人間だけを助けたら、返って疑いがこちらに向かないか?」

「まあそうなんだが。とにかく大人しくしてろよ」


 家に帰ると、期待されるような目つき。


「23歳のあなたとやってみたい」


 あー、まったくマイラはエッチなんだから。

 と思ったら他の3人もか。

 いやあ、ハッスルしてしまった。


 賢者タイムになって考える。

 あのタイムスタンプが正しいのなら、今は2124年。

 俺が前世で死んでから、おおよそ100年後だ。


 この世界がそれぐらいに作られたってことか。

 ここで考えられるのは、この世界がゲームの中、それともゲームを模して造られた世界。

 だが、俺はゲームの世界な気がしてならない。

 なぜなら、俺は前世で献体の書類にサインしたからだ。


 たぶん転生でなくて脳にある記憶のデータがこのゲームにアップロードされた。

 そしてタイトという存在が出来上がった。

 そんな気がしてる。


 だから何って事だな。

 ゲームの世界で生きているのだって生きている事には変わりない。

 この事実を広めても仕方ない。


 その事実を信じたら、自棄になって犯罪に走る奴が出るだけだ。

 世界の多数の住人が自棄になるなんて世界は望んでない。

 このゲームを作った神みたいな人間にとっては些細なことだろうけど。


 プレイヤーは降臨しないのかな。

 まだ、世界というかゲームを作っている最中なのかな。

 俺がテストプレイヤーの代わりなのかも。

 うんあり得る話だ。


 ゲームクリアをしたら世界が終わるのかな。

 この世界を作った人間と会話する機会もあるはずだ。

 プレイした感想を聞きたいものだからな。

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