第417話 魔道具と、数当てゲームと、商業ギルド

 さて、魔道具だ。


「【以下の呪文を魔石に書き込め。点火】」


 点火の魔道具を作る。

 魔道具を起動すると魔石が一回り小さくなったように思う。

 何度も使うと魔石は豆粒になってやがて消えた。

 完全に魔石は消耗品だな。

 魔石の価値が下がらないだろうことは良いけど。


 とにかくゴブリンの魔石じゃ大した魔道具は作れない。

 点火が5回ほどじゃ話にならない。


 さて、それでも魔道具は売りたい。

 マッチ売りの少女みたいな目に遭わないと良いが。

 点火の魔道具じゃきっと二束三文だろうな。

 考えないと。


 点火はエネルギーが要る。

 じゃあエネルギーが要らない魔道具って何だ。


import random # ランダムモジュールを入れる


x=random.randint(1,100) # 1から100までの数字

print("さあ1から99までの数字が隠されました。当てて下さい") # 最初のメッセージ

s=input("数字を入力して下さい:") # 数の入力

while s != "" : # ループ。空入力で終り

  if s.isdecimal() : # 数字かどうか判定

    if x==int(s) : # 入力と合っていたら正解

      print("正解です")

      break # ループから抜ける


    elif x<int(s) : # 正解は小さい

      print("もっと小さい数字です")


    else : # 正解は大きい

      print("もっと大きい数字です")


  s=input("数字を入力して下さい:") # もう一回チャレンジ


if s == "" : # 降参したかどうか判定

  print("降参ですか。数は",x,"です") # 数字がなんだったか表示


 こんなのを作ってみた。

 数当てゲームだ。


 数を入力すると大きいか小さいか答えてくれる。

 で正解すると終わり。


 これを『数当て.py』として保存。


「【以下の呪文を魔石に書き込め。Pythonパイソン 数当て.py】」


 俺以外が使えるか試してもらう。

 問題なく使えた。

 1回使ったぐらいでは魔石は目に見えて小さくならない。


 よし、これを売り捌こう。


 誰にターゲットを絞るかな。

 数を覚える教材と言える。


 商業ギルド辺りかな。

 ただ商業ギルドに限らず、ギルド員でない人間には冷たい。

 この世界はそうではないと良いのだが。

 とにかく当たって砕けろだ。

 商業ギルドは立派な白い建物だった。

 壁には染みがひとつもない。

 掛かっている算盤と金貨を現した看板も金ぴかだ。


 中に入ると身なりのいい人達だらけだ。

 太った人が多い。


 眼鏡を掛けた人も何人かいる。

 冒険者ギルドとは雰囲気がかなり違う。


「ええと取引がしたい」


 受付にそう申し出た。


「ギルドカードを提示して下さい」


 やっぱりそう来たか。


「ギルド員ではないんだけど」

「ではギルドはその取引に関する責任を負いません」

「トラブルがあっても関与しないということ?」

「ええ」


 にっこり笑われた。

 カモが来たなという感じかな。


「商人の紹介はしてくれるんだよね」

「それは紹介料を頂きます。紹介する商人はどのレベルですか」

「魔道具の小売り」

「それですと、銀貨3枚になります」


 お金を払って店の地図を書いてもらう。

 マギツール魔道具店か。

 あった、あれだな。

 なかはこざっぱりとして清潔感のある店だ。

 よく掃除してある。

 好感の持てる店だ。


「商業ギルドの紹介で来ました」


 店員に話し掛けた。


「紹介状を」


 紹介状は差し出すと鼻で笑われた。


「何か」

「押し売りのカモだろう。買い取ってやるから品物を見せろ」


 俺は数当てゲームの説明をした。

 段々と店員の顔が真剣な物になる。


「で買ってくれるの?」

「お前、天才だな。どうやったらこんな魔道具が作れる。押し売りのカモだと言って悪かったな。これでも商品を見る目は腐ってないつもりだ。買い叩いたりするとチャンスを逃すとな」

「良かった。どうなるか不安だったんだ。まあ魔石はゴブリンのだから大した痛手じゃないけど」

「ひとつ銀貨1枚で買い取ろう。ゴブリンの魔石から作った魔道具にしては破格だぞ。君とは末永く取り引きしたい」

「タイトだ」

「ヒバだよろしくな」


 握手して取引がまとまった。

 とりあえず、次もこの方向で魔道具を作れば良いらしい。

 次は石取りゲーム辺りかな。

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